もう…朝から何ごと…?
起き上がっておっぱを探しに行く。
洗面所に入るとおっぱが血相を変えて鏡に向かっていた。
口をぽかんと開けたまま、自分の頭の上を触ってる。
少し折れた耳がおっぱの顔に映えて一段と賢さが増している。
鏡に近付いてみたり、くるくると回ってふかふかの尻尾を確認するその姿は、もうどう見てもわんこ。
触ろうと近づこうとすると、さっきまで呆然としていたおっぱが興奮しだした。
ヒョン…?
忙しくなく動きながら洗面所を出ようとするおっぱを止める。
私が怒ってることに気付き、ひとまず冷静になるおっぱ。
いや、謝られる方が嫌なんだけど?
ぷぅと膨れてみせると戸惑いながらあたふたするおっぱ。
尻尾が少し垂れてわかりやすい。
んー……
おずおずとこちらの様子を伺いながらお座りするおっぱ。
上目遣いがかわいすぎる…
近付いておっぱの目の前に私も腰を下ろす。
ちょっと苦笑いするおっぱ。
でも私はもう止まらないよ?
少し自信のなくなった私。
無理やりすぎた…?
不安な顔を見抜いたみたいに、おっぱがぎゅっと私を抱きしめる。
笑われてちょっと恥ずかしくなってるところに、おっぱが優しく囁いてくれる。
抱きしめた手を少し緩め、大きな手で頭を撫でてくれる。
にっこりと笑って私を見つめるその目はとっても優しい年上わんこでした。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!