ベッドの上でタブレットを挟んで座る。
一口飲んだら、グラスをサイドテーブルに置いた。
なんて言ってたのに。
10分後にはもうテンションあがりきって、30分経てば真っ赤で眠たそうな顔してる。
いくらファッション好きとは言え、女性誌を見るのはもう飽きてきただろうから。
自分のお酒の弱さを人のせいにするのは、ちょっと無理があるんじゃないかな!?
腕まで真っ赤に染めたホビが、私の腰に手を回す。
"ちゅー"と言いながら唇を可愛く突き出した。
同じく唇を窄めて期待に応えてみる。
柔らかいホビの唇が私のに僅かに触れると、満足そうに笑った。
またタブレットに視線を落とすと、操作しようとする手を握って止められる。
付き合って既に一年経つけど、未だにドキドキする相手。
顔を上げてホビを見つめた。
熱っぽい視線が絡んでくるのはお酒のせい。
座った姿勢でもホビの方が高いから、見つめ合うと自然にホビが私を見下ろす。
長いまつ毛が目にかかってすごく色っぽい。
友達同士の延長みたいな私たちだけど、こういう時はいつも真面目な顔する人。
このギャップに心臓が持たない…
足にかけている毛布が暑く感じるくらい、何故か私もお酒が回ってきた。
私の手を握るのと反対の手が、私の頬にそっと触れた。
そのまま親指で撫でられると自然と私の目が閉じる。
次に来るのは勿論あたたかい口づけ。
さっきのとは違った深いキスが、私の脳にまでアルコールの香りを運んだ。
唇が離れると息が熱いのを感じる。
真っ赤な顔をした2人が目の中にお互い映っていた。
少しはにかんだ笑顔をして私からタブレットを取り上げる。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。