ある日の訓練の合間、キコルちゃんが聞いていたバンドの曲の話になった。
そこから今の会話に至るのだが、自分は推し活というものをしたことが無い。
周りの子がよくうちわを作ったりグッズを買ったりして、ペンライトを振ったりしていたのを思い出す。
なるほど、みんな推し活と言わずとも、趣味などで息抜きをしている訳だ。
後日、キコルちゃんの推し活のためのうちわ作りに混ぜてもらい、自分でも人生初の推し団扇を作ってみることにした。
キコルちゃんが色んなデザインの団扇を見せてくれるので、参考にしながら画用紙等を切り貼りしていく。
隣ではキコルちゃんがクオリティの高い団扇を作っていた。
なるほど、お菓子作りとかと同じで、相手への愛情込めるのが大事なのか。
それなら私にもできそうだ。
こうして愛情込めて作った団扇は、初推し活記念として部屋に飾ることにした。
片面は「開眼 見つめて」。
もう片面は「八重討ち 斬って」。
びっくりした、いつの間にこの人は私の後ろに立ってたんだ?
ものすごく、私の手元に視線を感じる。
………あ。
そうこうしているうちにぱっ、と団扇を手から抜き取られ、両面共にじっと見つめる宗四郎。
とりあえず頭を下げると、宗四郎はくくっ、と笑いながら私の顔を撫でる。
顔を上げれば、至近距離で開眼した宗四郎と目が合う。表情も、核を射抜くような、熱い眼差し。
恥ずかしくなり目を逸らそうとすれば、顎に手を添えられ顔が動かないよう固定される。
そのまま見つめられながらソファに座らされる。
宗四郎の視線が外れようやく終わったと思ったが、そのまま耳元に口を寄せながら囁かれる。
パチンっ
ハラ……
この一瞬でどうやったのか。
前開きのシャツのボタンが全て外された。
なんだそれは!?と突っ込みたかったが、それどころではない。
過剰なファンサを貰うとファンが卒倒することを知らないのかこの人は!
意識を飛ばしたあなたの名前をそっと膝枕し、読書をしながら彼女が起きるのを待った副隊長がいたとかいなかったとか…。











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!