「力づくで返してもらう」
そして俺はアクラと戦うことになった
「はぁッ、はぁッ…本当にいいのかよ‼︎お前が神じゃなくても‼︎」
「だからそう言ってるやろ!はぁッ、俺はロボロさえ無事でいればそれでいい‼︎」
数分…いや、数時間かもしれない
俺とアクラは言い合いながら戦い続けていた
「ロボロは俺にとって大事なんだ‼︎」
「何故お前はそこまであの人間に固執する⁉︎」
その質問に俺は答えれなかった
「お前にはッ関係ないやろッ‼︎」
そして、俺は今持ってるありったけの力を込めてアクラにぶつける
「ぐはッッ」
「はぁッ…はぁッ…チェックメイトや、アクラ」
「はぁッ…はぁッ…ははwガキの頃もよく喧嘩したなぁ…」
「…そうやな……それよりも、早くロボロを元に戻せ」
「……お前…いつからそうなったんだよ」
「何がや?」
「俺、今のお前すげぇ怖ぇよ。シンであってシンじゃねぇみたいだ」
意味がわからない
「…俺は俺やよ」
「……そうだな」
その時、アクラの手が光る
「ほらよ、これで戻ったはずだ。でも、あの人間が元々負っていた傷は大きい。治る可能性は低いぞ」
「その可能性決めるのは最高神様だ」
「あぁ…そうだったな」
「じゃあね、アクラ。久しぶり話せてよかったよ」
「ッおう!またな!」
「あぁ、またね」
俺は急いで人間界へ向かう
ロボロの元へ
「神が人間に"恋"なんて許されることじゃねぇこと…わかってるよな…シン」
「ロボロ!」
俺は勢いよく扉を開ける
「ぺ…神…?」
はたから見たら何も変わっていないかもしれない
ただの患者のように見えるかもしれない
それでも
俺にはわかる
ロボロは感情を取り戻してる
「ロボロ‼︎」
俺は泣きながらロボロに抱きつく
「なんや、ぺ神…泣いとんのか、?」
ぎこちなくはあるが、ロボロは微笑しているがわかる
「よかった…よかったぁ…」
俺はロボロに抱きつきながら泣き続ける
「ちょ、ぺ神……汚い…」
「うるせ!喜んでるんや!」
本当によかった…
「んふふ…ありがとぉな」
笑ってくれてる
ロボロが
ずっと何もできなかったのに
それだけが俺は嬉しかった
「それにしても…俺どうしたんやろうな…」
そうか…知らないのか…
「なんか…ずっと暗くて……狭いところにおった気がするわ……ずっと…寂しかった…」
「何かはわからんけど…ぺ神が助けてくれたんやんな」
「!…どうして…そう思うの?」
「ただなんとなくや…なんとなく…そう思った、ありがとぉなぁ」
そう言って微笑むロボロ
まだぎこちなくはあるがその笑顔がたまらなく愛おしい
守りたい
ずっと一緒にいたい
でも…それはできひんねんなぁ…
「あの時…怒鳴ってもうた……ほんまにごめん…」
「いやいや!あれはどうにもできなかった俺のせいでもあるし…」
「ありがとぉ。俺…もう後ろ向かん。アイツらの分まで生きるわ」
「それはまた急だね」
「んふふ…寝てる間、何も考えてないことなかったからな」
「そっか」
「まぁ…頑張るわ!」
あぁ…苦しい
もうこの笑顔が見れないんだ
苦しい
苦しい
もう会えない
もう話せない
「ごめん、ロボロ…」
「ん?なんか言うたか?」
「ッ…ううん、何にもないよ。ロボロもう疲れたやろ?もう寝ときな」
「?お、おん…」
ロボロが転がるのを確認すると俺は外に出る
「ばいばい、ロボロ」
「もう会われへんわ…」
人間界にそう言い残して俺は天界へと戻る
愛おしい人ともう二度と会えない悲しみを抱えて
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。