その時、玄関のチャイムが鳴った
(私、宮原と申します。嶋川みずきさんは、いらっしゃいますか?)
(ありがとうございます!)
和が宮原を連れて中に入って来た。
(おかげ様で…)
(はい、お察しの通りです)
そう言って、みんなを紹介した。
(嶋川さんとの関係は、言わば情報提供者ですね!私は過去に嶋川とはに命を救って頂きました。)
(はい…数年前の事件の時に…私は、丸山…今は鈴木と名乗ってますが。卑劣なやり方で追い詰められ自殺しようとした時に嶋川さんが引き留め、救って頂きました。あの時の事件では何人もの人間が追い詰められ自殺、または行方不明になりました。)
(そうです。あの時、嶋川さんは、泊まり込んで再建に向けて必死になって動いてくれました。おかげで、うちの会社も何とか修復する事が出来ました)
(それで今回、嶋川さんが狙われている事が情報でわかり少しでも役に立てばと思い…過去のデータなどを持って来ました)
(はい、あの当時のデータです。
あいつの経歴などは全て削除されていますが、基本的な事など、あいつのやり方、手法とかは会社のデータに保存してありました。何かあった時に役に立てばと思いまして!)
私は宮原が持って来たデータを見た。
(それから、他の人も今、水面下で動いてます。)
(はい、北海道から沖縄までです。)
(わかりました。総動員して情報収集します。明後日の朝までには、これ以外の情報があるはずです。待ってもらって良いですか?)
(では帰ります。帰って情報収集します)
宮原は、帰って行った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!