この世界は腐っている
そう、生きれば生きるほど思ってしまう
店に行けば対応するのはもう人間と見た目も声も何ら変わらないコンピューター
道を歩けばバグが暴れ、逃げ遅れた人間が無様に死んでいる
その度に人間の目はオレをほうを向き「助けろ」と言わんばかりの圧をかけてくる
その目が酷く醜くて如何わしくて
その目を見たく無いからオレはバグを殺す
もう誰1人として、オレにあんな目を向けるやつがいることは許さない
そんなやつがいたらオレが救ってやる
だから毎日、錆びたキーボードに言ってやるんだ
ってな
パソコンに一件の通知が来る
4人が帰ってきたようだ
案の定、遠くからはドタドタと何かが凄い勢いで走ってくるような音がした
今日こそは突進されても動じないぞ、と腹に力を入れてびくともしないようにする
カシャン、と鉄格子が外れる音がした
敵襲かと急振り返る
振り返った先は敵でも何でもなくただオレたちのチームの爆弾魔として親しまれるルイが入ってきたようだった
ならば普通に入ってくればいいものを、やはりこいつは少し変わってる
当たり前のように窓の縁に足をかけぴょんと飛び降りる
少し危なっかしいように見えるのは彼のプログラムの都合上だろう
もうそれに慣れてしまっているから何のこともない
ルイにいつものお説教(甘い)を行っていたところ、横蹴りを思いっきりくらった
もちろん犯人は…
このピンク頭の天真爛漫という言葉が似合う少女、エムだ
続いてやってきたのはそんなエムのパートナーである比較的まともなネネ
しかし彼女はかなりの毒舌やらなんやら…一言で言うとツンデレという立ち位置だ
オレが突撃されて咳き込んでいるところを横目で見たと思ったらフッと鼻で笑ってすぐに目を逸らした
おのれこいつ
あとでミント入りのアイスを食べさせようかと思ったがそのあと虫を部屋に投げられるかピーマンを生で食べさせることをオレは理解しているから我慢した
ぶっきらぼうに言い捨てて部屋に入るアキト
こいつもこいつでめんどくさいがネネよりは素直だから助かる
こう見えてまともでもあるからまぁ許そう
涼しい顔して多少変態気質なこのイケメンはトウヤ
多分この中では一番まともだがどうやらこのカッコいいオレに惚れてしまったようで毎日のようにオレを褒め称えてくる
まぁ悪い気はしないからな!!!特別に褒めさせてやろう!!!!!
そしてオレ、ツカサだ
オレはこの組織の中で最も強く、最もかっこいい男だ
そして組織の幹部祐逸の人間だ
オレにはここに来るまでの記憶が一切ない
名前も何故かポケットに入っていた名札から知っただけで本当にわからないんだ
エムは中身がたくさん詰まったたい焼きの袋を頭上に掲げながら笑った
その笑顔に釣られてオレたちも笑う
そのまま流れでいつもの会議が始まった
会議と言ってもオレたちの会議は相当のことが無い限りただの雑談だ
確かにエムの言う通り美味しい
だがエムが間違えた理由は美味しそうだからじゃない
思考のプログラムが未完成だからだ
エムはそのことを深く理解できていない
だから誰も何も言及できない
そしてこのアキトは味覚がない
それだけ?と思うかもしれないがこれがとても辛い
どんなにオレが美味しい料理を振る舞っても何も感じないのだ
可哀想で仕方がない…
…探す手間が省けたようだ
そう、この人がオレたちのリーダー、リンだ
リーダーといってもこいつはどちらかと言うと「友達」
天真爛漫でいつでも笑顔、側から見ればごく普通の女の子だ
だがリンは特別な力を持っている
それはバーチャル世界へ行けることだ
バーチャル世界は楽園、辿り着いたら最後もう帰れない
代わりに真の肉体を手に入れ、現実世界へ行きそこで1人の人間として生きていける
なのにリンは何度もバーチャル世界に行っているのに帰って来れている、今ここでコンピューターとして動いている
謎が多いが無害だし楽しいから良いとするがいずれ問題は起きるだろう
それがオレたちのリーダーだ
さっきまで部屋の中で一番豪勢な椅子に座っていたがすっと立ち上がり…
こんな謎の点呼が始まり
タンッと床を蹴り一回転を決め華麗にお辞儀をする
「「「「「「了解、リーダー!!!」」」」」」
















![# 攻略対象より悪役に惚れました . [ 冬司ver ]](https://novel-img-gcs.prepics-cdn.com/prcmnovel-tokyo-prod-converted-images/p/463Ienje96SMnaxqeg7tvIaFh9p1/cover/01K566339R5TNCGP01WCWNSK9G_resized_240x340.jpg)



編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。