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第5話

好きな人
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2018/02/09 09:14
「他に、好きな人、いるんだ?」

別れた後、暫くして彼女は、友達に戻りたいと自ら伝えてきた
もう未練はないと伝えてきた
彼女の好きな人は、きっと僕の知らない人なんだ、そうに決まっているのに

「あら、あなたもよく知っているでしょ?」

なんでこんなにも、彼女の言葉が気にかかるのだろう
彼女と話すとなんで自分がぐらついて、分からない事ばかり増えるのだろう

「じゃあ、私帰るわ」

腕時計を見て、彼女はひらりと手を振り微笑んだ

「あ、うん、お疲れ様」

「お疲れ__あなたなら、分かるわよ
それだけ、ばいばい」

彼女が残した笑顔と言葉は僕の胸に焼き付いて、謎に満ちたまま離れなかった


僕なら、分かる___
何も彼女のことは、分からなかったけど、ひとつだけ分かったことがある




僕は彼女とうまく時間が合わなくて、
一人の時間が作れなくて、
自分勝手に振ってしまったけど

__だから彼女が友達に戻りたいというのなら、そうしようと思ったけれど


__もしかしたら、引き摺っているのは僕なのかもしれない
僕は、君の影をまだ追いかけているのかもしれない

僕は、____まだ、好きなのかもしれない


そんな、揺れる波だけ、
…わかったのは、それだけだった

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