休日の朝は、少し静かだ。
平日よりも人の少ない通学路を歩きながら、体育館の鍵を確認する。
一番乗りは、だいたい決まっている。
黄金川くんが、大きなバッグを肩にかけて立っていた。
よく分からない理屈だけど、否定はしなかった。
体育館を開けると、ひんやりしたら空気が流れ込む。
ネットを張って、ボールを出して、準備を整える。
二口先輩が欠伸混じりに言う。
青根先輩は黙々とストレッチをしている。
近くに行くと、自然と背筋が伸びる。
短いやり取り。
でもそれだけで伝わる。
練習が始まると、体育館は一気に音で満たされる。
『ブロック揃えろ!!』
『ワンタッチ狙え!!』
休日だからといって、手は抜かない。
むしろ、平日よりも集中している気がする。
水を配りながら、コートを見る。
黄金川くんが跳ぶ。相変わらず、高い。
声をかけると、少しだけ嬉しそうな顔をする。
単純だけど、それが強みだ。
練習の合間、ベンチでメモを取っていると、二口先輩が覗き込んできた。
それは褒め言葉だと受け取っておく。
昼前になると、少し疲れが出始める。
コーチの声で、全員が床に座り込む。
二口先輩が言う。
青根先輩が、無言でスペースを空けてくれた。
座ると、床の冷たさが気持ちいい。
黄金川くんが小さく言う。
でも、嫌じゃない。
休日の部活は、派手なことは起きない。
ただ、同じ時間を積み重ねるだけだ。
それでも、確実にチームになっていく。
練習が終わる頃、外はもう明るくなっていた。
いつもより、少し軽い声。
鍵を閉めながら思う。
休日でも、ここに来たいと思える場所がある。
それは、悪くない。
むしろ、結構好きだ。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。