第7話

会えない時間
1,376
2023/09/02 16:32 更新
倒理がもう3日も帰って来ない。
仕事の依頼の調査があるから、しばらく留守にすると言って出て行ったまま。
寂しいし、不安だし、眠れないし食欲も無い。こんなに心配してる僕の気持ちなんて、倒理には分からないだろうね。
僕の気持ちだけが、倒理のほうを向いているんだから。
薬子
おはようございまーす。倒理さん帰ってきましたか?
氷雨
まだ帰って来ないんだよね
薬子
3日も音信不通なんて、心配ですよね
氷雨
こんなに心配してる僕たちの気持ちなんて、倒理には分からないんだよ
薬子
…!そうですよね、氷雨さんの気持ち、私にはよく分かります。倒理さんはオラオラ系男子ですからね、まめな連絡とか、優しい言葉とか、そういうタイプじゃ無いんですよね。氷雨さんはこんなにせつなくて、苦しい思いをしてるっていうのに。分かります、氷雨さんの気持ち。倒理さんは典型的な攻めのタイプですからね…
薬子ちゃんの話は延々と続いて、終わりそうに無い。水を得た魚のようだ。心なしか嬉しそうに見えるのは何故だ…。
氷雨
薬子ちゃん、なんか目が輝いてるね
薬子
JKですから
バタン

扉の音がする。
氷雨
倒理?!
僕は急いで玄関に向かう。
倒理
ただいま
氷雨
倒理!
僕は倒理に駆け寄って抱きついた。
氷雨
どうして連絡くれなかったの?!3日も帰らないで!
倒理
なんだよ3日ぐらい。しばらく帰らないって言っただろ?
氷雨
その時間が僕にとってどれだけ長いか分かる?同じ3日でも、倒理と僕じゃ、感じる長さが違うんだよ!
僕の目から涙がつたう。
氷雨
どれだけ心配したか分かって…
グイッ
氷雨
?!
倒理の両手が僕の顔を包んで、引き寄せる。
言いかけた僕の言葉を塞ぐように、倒理の唇が
重なる。
氷雨
んっ、ん…んっ
チュッ…クチュ、ちゅっ

倒理の舌が、僕の舌に激しく絡まる。
僕を攻めるイヤラシイ音が、この部屋に響き渡る。
氷雨
ん…っ、あ…っ
強引なキスに、息ができない。その苦しさも、段々と快感に変わる。 
氷雨
は…、ぁっ…、
朦朧とした意識の中でも、倒理の動きに応えようと僕は必死になっていた。

最後に軽くキスをして、倒理は唇を離した。


僕は呆然と倒理を見つめる。
倒理
ごめん。寂しい思いさせて
僕の目から、また涙がつたう。
倒理
まだ足りない?
チュッ

僕の唇に、優しく触れる。
氷雨
おかえり、倒理…
倒理
ただいま、氷雨
しばらく、二人は抱きしめ合った。


そんな二人の姿を、ドアの隙間から家政婦は見…ていなかった。
さっき氷雨と話している時に浮かんだ妄想プロットの書き起こし作業に没頭していたのだった。




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