レイが、一瞬だけ目を丸くして。
それから、楽しそうに笑った。
直球。
豪速球。
シャルの眉がぴくっと動く。
でも否定しない。
否定、しないんだ。
彼氏か何かですかね。
ここに私いるんだけど。
当事者なんだけど。
完全に蚊帳の外だし。
そしてシャル。
数秒黙ったあと。
ぽつり。
めちゃくちゃ取られたくない人のセリフ。
そんな顔でそんなこと言ったって。
レイ、笑い堪えてる。
周囲、息止めてる。
たぶんだけど。
その空気の真ん中で。
なぜかシャルだけ、じっと私を見てる。
即答。
でも耳、赤い。
なるほど。
分かりやすい。
私はちょっと笑って、
わざとシャル側へ肩を寄せる。
反応、早。
周り、「 え、付き合ってるよね? 」
「 いやもう確定でしょ 」ってヒソヒソしてる。
でも。
隣でちょっと嬉しそうにしてるシャル見たら。
なんかもう、訂正するのも面倒になって。
そう思ってしまった時点で。
たぶん、もうだいぶ手遅れだった。
昼休み明けの廊下って、
なんであんなに治安が悪いんだろう。
授業戻るやつ。
購買で戦争してきたやつ。
窓際で恋バナしてる女子。
なぜか廊下のど真ん中で笑い転げてる男子。
名門校ってもっと“静”のイメージだったのに、
普通に“陽キャの巣”である。
私はそんな騒がしい廊下を、
一人だらだら歩いていた。
午後の授業、だるい。
眠い。
帰りたい。
人類、だいたい昼食後は
機能停止するようにできてると思う。
ぼんやり歩いてた、そのとき。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。