【自宅】

…………。

((パチッ
目を覚ますとそこは自分の部屋だった
手元には金色の指輪が転がっている

…リアルな夢だったな……
ーその日の夜ー

ふぅ…
1日の終え、自分の家に帰宅した

……。(ご飯…食べよう……)
昨日の夢が少し気にはなったが、すっかりいつも通りの生活に戻っていた
そんなとき…
「主様…主様…早く…お戻りください」

幻聴…かな?

…………

………
もう一度慎重に耳をすましたが何も聞こえない

気のせい、かな……?
「主様…聞こえますか?」

声が聞こえる……!
どうやらその声は、金色の指輪から聞こえるようだ
「主様…主様…早く…この指輪をつけてください」

スッ((※指輪をする
指輪を指にはめた
すると昨日と同様に強烈な眠気が襲ってきた

……………

…………

………

う…う、ん……?

お帰りなさいませ。主様

お前は…(べ……?)

(ベーコン……だっけ?)

私に敬称は不要だとお伝えいたしましたよ
どうぞ、「ベリアン」とお呼びください

あ……(そうだ…ベリアンだった)

うん…またこの夢なんだな…((ポソ
主様。昨日も言いましたが、ここは夢ではありません

この屋敷も、私たち執事も現実に存在しているのです

そうは言われてもなぁ……

うーん…どう説明すれば信じてもらえるのでしょうか…?

あっ!そうです!ではここでちゃんとご説明いたしましょう
ガタ…ガタ…

どうやら下の階で、他の執事たちが取り込んでいるようですね

そうです、主様!下に降りてみましょうか!

他の執事達に会ってみたら、主様にこの世界が現実だと信じてもらえるかもしれません
【デビルスパレス 食堂】
ガチャ

どうぞ…主様こちらへ

ああ、ありがとう

主様…!

よかった。主様、また戻ってきてくださったんですね

る…ル○ン……?

えっ??
お初にお目にかかります。主様

俺は執事のフルーレと申します

衣装担当ですので、お召し物に関することはこのフルーレにお任せください

フルーレくんは、裁縫が得意でお洋服を一から作ることができます

主様も着てみたいお洋服などあれば、ぜひ彼にお申しつけください

なんなりと、主様

分かった。ありがとう(刺繍か…手先が器用なんだな)

ところで皆さん、騒がしかったようですか…いったい何があったのですか?

あぁ…それが…
うま…うま…このササミ美味しいですね!

この猫が厨房の鶏肉を勝手に食べてて…
すみません…お腹が空いて、どうしても食べたくなったんです

だからと言って盗み食いをしていい理由にはならねぇだろ!

なるほど…それで騒がしかったのですね

それにしても喋るなんて不思議な猫ちゃんだね。
猫ちゃん、キミはどこから来たのかな?
え、えっと…空から落ちてきた…みたいですけど…

みたい…?自分のことなのに分からないのかい?
それが…ここに来る前のことは何も覚えていないんです

記憶喪失ってやつかな?
た、たぶん…そうです…

喋るし、空から降ってきたし…さらに、記憶喪失だし…

キミ、怪しすぎ!もしかして、天使のスパイなんじゃないの?

(スパイス…カレー?)
ち、違います!僕はスパイなんかじゃありません!

流石にこんな小さい猫がスパイなわけねぇだろ?

うーん…ま、それもそうか…

猫さんの事情はわかりましたが…これからどうしましょうか?

この屋敷で、動物を飼うことはできませんし

じゃあ、屋敷から追い出すのかい?

それは少し可哀想な気がしますね…
ぼ、僕をここで執事として雇ってください!

はぁ?突然何を言い出してるんだ、この猫!

結構大胆だね、キミ
ここを追い出されても、行くところもないですし…飼うのがダメなら、ここで働かせてほしいです!

(千と◯尋みたい…)

いやいや、猫が執事って聞いたことねぇぞ

でも、猫ちゃんが執事って面白くない?私は賛成だけどなぁ~

本気ですか、ルカスさん?

猫ちゃん。あなた、何か特技とかありますか?
掃除、洗濯、お料理、お裁縫まで…
やったことはないですけど、がんばります!

いや、やったことないんかい!

なぁベリアン、どうかな?この不思議な猫ちゃん、執事として雇ってみない?

ルカスさん…完全に楽しんでますね…

では、ここは主様に決めてもらいましょう

そうだね。主様が決めたことならみんな納得するだろうし

……(丸投げだ…)

………ねぇ、キミ
はい!

キミって、覚えるの…得意?
お、覚えるの…ですか?

うん。例えば……人の名前とか地名とか…
れ、練習すればできると思いますけど…

うん、じゃあ採用
(はっや!?/早い!?)

キミを『記憶係』に任命する
き、記憶係!?

そうだ。仕事内容は主に私が言った人の名前、地名。そこの名物などを覚えてもらう
で、でもなんでそんな係に…?

実は私……

物を覚えることが苦手なんだ( '' )スンッ
彩ちゃんは重度の忘れん棒
………………え?

だからキミには私のかわりに物事を“覚えて”もらう

それができたら、ここに置いてあげる

どう?やれる?
ぼ、僕……!

無理しなくていい
…え?

自分のことも分からない状況なんだ。不安じゃないわけがない

これはキミ自身が決めること

無理して“後悔”しないでほしい

駄目だったら、私が代わりにキミの家を探そう。いくら時間がかかっても…キミの安全を確保してみせる
…主様

“するか、しないか”じゃないんだ

でも“できるか、できないか”でもない

“やりたいか、やりたくないか”なんだ
……!!
…………。
…やりたいです

………。
確かに主様の言う通りです
でも!
見ず知らずの僕のことを、こんなに心配してくれて…優しくしてくれて…
そんな主様の元で働きたいと思ったんです

……そっか

うん…いいよ
ありがとうございます!一生懸命働きますね!

猫さん。今、この時をもって…この御方は、あなたの主様です

ちゃんと執事らしい礼儀作法を覚えてもらいますからね
了解しました!よろしくお願いしますね、主様!

…よろしく(まだ慣れないな…)

今日から俺の後輩ってわけだな。よろしく頼むぜ、猫
はい!よろしくお願いします!

うーん

どうかしました?ルカスさん

いや「猫ちゃん」って、なんか他人行儀な気がしてね。せっかくなら名前をつけてあげたほうが良くない?

そうですか?俺は猫のままでいいと思いますけどね…

ん?首輪に何か書いてあるみたいだぞ?

えーっと…、MUU…ム…ゥ…ムー?

ムー?もしかしてそれがキミの名前なのかい?

なるほど!僕はムーという名前なんですね!

間抜けな響きが愛らしくていい名前だね

フフ、おいフルーレ!そ、そんなこと言ったらムーが可哀想だろ

そう言いながら顔は笑ってますけど…

それではムーちゃん。これからよろしくね

なぁ、フルーレ。こいつに燕尾服を作ってやれよ!

はぁ…ロノ…。そんなに簡単に言わないでくれるかい?

服を作るって結構大変なんだよ

(そうなんだ……)

猫の服なんて小せぇんだから簡単だろ?パパパっと作れんじゃねぇのか?

はぁ…わかってないな。一番手間がかかるのは最初のデザインなんだよ

俺は衣装づくりには一切妥協できないからね

はぁ…少し頭を使えば分かりそうなものだけれどね

お、お前…相変わらず性格わりーなぁ

ほらほら、二人とも。主様の前だよ?喧嘩はやめた方がいいんじゃない?

ぐぬぬ…

ふん!

(意外と仲悪い…?)
ダッ…
ガチャ

ルカスさん!ルカスさんはいませんか?

ハ、ハウレスさん?

き、緊急事態です!

私はここだよ。どうかしたのかい?

治療をお願いします!ボスキが…負傷してしまって…

ぐっ…ったく…天使のやつら…

ボスキさん!

ひ、ひどい怪我です…

ヒュッ……!忘れたくても忘れられない……遠い……記憶………
キキィ!!
ドンッ!!!
彩「××ッ!!(泣)いやっ!!お願い!私を置いていかないでっ!!(泣)」
××「ごめん…ね……さや、か………ニコ」
××「……私の分まで……幸せに……なって…ね………?」
彩「いや……いやっーーーーー!!!」

……………。
主様…?

……なんでもない…
いったい何があったんですか?

魔道服なしで天使と戦ったんだ

そんな無茶な

チッ…あいつら…魔道服無しじゃ、ここまで手こずるのか…

ハウルスくん!ボスキくんを医務室に運んでください!

わかりました!おい、ロノ手伝ってくれ!

あ、あぁ…

うっ…すまねぇ
ダッ…
ガチャ

(今のヤツは大丈夫なのだろうか?)

実は昨日、主様があちらの世界に戻られた後、再び天使が現れて…

ハウレスくんとボスキくんが、天使狩りに出ていたんですが…

やはり魔道服なしではあの二人でも厳しかったみたいですね

…って主様!?大丈夫ですか!!

あぁ…平気だ……はぁ…はぁ……
はぁ…はぁ……しばらくしたら落ち着く
さっきからこんな調子で…💦

とても苦しそうですよ💦急いでルカスさんを…💦

やめろっ!!
!!?

そいつは…今重症の執事の治療をしているだろ…はぁ…はぁ……
で、ですが…!

ふぅ、ふぅ…私のは時間が経てば収まる。放っておけ
主様〜…… :( ˘•̥ㅁ•̥˘):

ムーは魔道服が何なのかまだ教わっていないだろう?彼らに教えてもらえ

うぅ……(>︿<。)

ふっ…別に死ぬわけじゃない。少しは落ち着け

うぅ…ぐすっ……はい、主様

……それでは魔道服について詳しく説明致しますね

魔道服というのは天使に唯一対抗できる力です

へぇ…そんな凄い力が執事さんにはあるんですね!

あれ?でも、さっきの二人は魔道服の力が使えなかったって…

はい。魔道服は主様の呪文がなければ発動しないのです

私が昨日の呪文を言えさえすれば、魔道服は発動するのか?

主様!もう大丈夫なんですか?

あぁ。少し落ち着いた…もう平気だ

はい。主様がいないと魔道服もただの服と一緒です

へぇ〜。主様ってすごい力を持ってるんですね!

そう、なのか?自分ではよく分からないが……

ハウレスくんとボスキくんはとても強い二人ですが…魔道服がないとあの有様です

それに、天使のやつら…最近、現れる頻度が多くなっているし

頻度が多くなっている…?どういうことだ?

こんなに天使が活発になるなんて、今までありませんでした

何か不吉なことが起きなければいいのですが…

不吉なこと…?なんか怖いですね…

(不吉なこと…か)

おっと…暗い雰囲気にしてしまい申し訳ありません

ところで主様。せっかくこちらの世界に戻って来たんですから…

自室で、ゆっくり疲れを癒してください。お部屋に紅茶をお持ちします

さぁ、こちらへ
【デビルズパレス 自室】

すぐにお菓子とお茶をお持ちいたしますね。では、失礼いたします

ガチャ))

主様のベッドはとても大きいですね〜!僕もここで一緒に寝てもいいですか?

あぁ。好きにするといい

ありがとうございます!こんなベッドで寝れるなんて幸せです

私はムーのその図太さは嫌いじゃない

切り替えの速さは、次の活力にもなりやすい

ここに来て何かと不便かもしれないが…その図太さがあれば大丈夫だろう

主様……もしかして僕のことバカにしてますか?

…?いや、していないが?
⬆ 褒めたつもり

そうですか……💧

だが、寝床を共にする上で一つ、条件がある

はい……?なんですか?

──というのが決まりだ。いいな?

う〜ん…それ、他の執事さん達には内緒ですか?

あぁ。他言は禁ずる

う〜ん…ちょっと気が引けるけど、わかりました。頑張ります!

あぁ。では、共に眠ることを許そう
疲れていた私はベッドに横たわると、そのまま眠ってしまった。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!