「そんなことより僕は気になってることが2つある」
「そんなことじゃないよ」
少しムスッとした表情をした彼女は、腕を組みながら、まあいいや、話して、と続きを促した。
「その日本で君をいじめていたとかいう奴らは今どこで、何をしているんだ?僕の前に連れてこい。きっと酷い目をみせてやる」
「やだよ、絶対。それにもう二度と会いたくないの」
スパッと言い切る。
私が転校するって聞いて心底安心した表情をしてたの、失礼しちゃうでしょ、と今度は怒りの矛先が僕から元クラスメイトに変わった。そこまで怒っている訳ではなさそうだ。
数秒たった頃には、でもホグワーツに入学して、ドラコに再会して、友達もできて幸せよ、と笑う。コロコロと変わる表情。感情。
その様子をずっと見ていたからか。かわいいな、とつい口からこぼれる。
一瞬時が止まったように思えた。2人してきょとん、と見つめあったあとに、ぼっと火がつきそうなくらい顔が赤く染まり上がる。
ステラは体ごと暖炉の方に向き直り、僕は誤魔化すように大袈裟に立ち上がって顔を背けた。少しの沈黙のあと、先に口を開いたのは僕だ。
「あ、あぁそうだ。もう一つの気になってることだが、」
ぎこちなく言うと、彼女の方からもぎこちなくあぁ、そうね、と返ってくる。
「あぁ、その、僕は、君の家族なのか?その、家族よりも先に、なるものがあるだろう」
じゃあ、僕は寝る、おやすみ、と言いたいことだけ好きに言って、彼女の顔も見ずに男子寮へ早足で駆け込んだ。恋人になりたい、その言葉は出てこないまま。
寮のドアを閉める前、小さく、良い夢をと聞こえた気がした。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。