前の話
一覧へ
次の話

第14話

3-9
29
2023/12/27 15:00
残されたクラッブは、オドオドと目を逸らしながら、マルフォイ、と小さく声をかけてきた。


「その、多分だけど、好きだと言わないとダメみたいだ」
「なんだって?」


眉を歪めて強めに言う。モゾモゾと両手を膝の前で動かしながら再度言った。


「ステラに、好きだって言わないと....」


じゃ、じゃあ俺もそろそろ寝るよ、と焦ったように立ち上がって男子寮へ入って行った。
あいつら揃いも揃ってなんなんだ。好きだって?俺が?ステラにいうのか?
考えるのをやめたくて、4人は座れるであろう一番大きなソファに横になった。腕で枕を作り、天井を見上げる。

5分ほどそうしていても、モヤモヤが止まらなくて、乱暴に起き上がった。その反動で何かが床に落ちる音がする。
そちらに目線をやると、もらったばかりのネクタイピン。屈んでテーブルの下から拾い上げる。
好き、か。ドラコにとってステラが大事な存在であるのは何事にも変えられない事実であるが、それがただの好きという言葉で表していいものなのか。

ドラコ・マルフォイは一晩悩んでも、答えは出なかった。

プリ小説オーディオドラマ