談話室には、パンジーとクラッブ、そしてブロンドヘアのステラ。
真剣に何かを話していた3人は、僕に気がつくと少し気まずそうに挨拶してきた。
「あぁ、ドラコ....」
ステラはぎこちなくやあ、と片手を上げるとすっと立ち上がってローブを翻した。
「じゃあ、私、もう寝るね。みんな、おやすみ。...ドラコも」
「あぁ、おやすみ...」
女子寮のドアが閉まるのを確認して、僕はまだ暖炉の前に座る2人にずんずん、と一気に近づく。
「お前たち、なんなんだ、その態度は」
「なによ、ステラの前じゃあんなしおらしくしてたくせに」
うんうん、とクラッブも横で小さく頷く。
「とにかく、そんな態度はやめろ」
「そんなってどんなよ、私たちのせいにしてるけど自分に心当たりはないわけ?」
ぎくりとした。心当たりなんてないわけがない。が、そんなことは悟られないように必死に言い返した。
「その気まずそうな態度のことだ。まるで僕がいない方がいいって言ってるようだが?」
「私たちはそうじゃなくても、いまステラにとってはそうかもしれないわね」
驚いて目を丸くした僕に、パンジーは大きなため息をつく。
「いい?ハッキリ言いたいことを伝えないと、他の男にとられても知らないわよ」
「他の男?なんの話だ」
「ドラコ、あなたってなんでそうも素直じゃないのかしら」
パンジーはもう知らない、とでも言うように大股で女子寮に向かい、ステラより大きい音でドアを閉めた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。