〜あなたside〜
受話口から聞こえた声に、心臓が跳ねた。
一気に言葉が溢れる。
電話をかけると決めたくせに、出てくれたことが信じられなくて、頭が真っ白だった。
受話口の向こうで、くすっと笑う気配がする。
一瞬、間が空く。
その一言。
心臓が止まりかけた。
モモの声は、本当に無意識みたいだった。
あなたは言葉を失う。
耳の奥が熱い。顔が一気に赤くなるのが分かる。
沈黙が落ちる。
電話越しなのに、空気が伝わる。
お互い、息を整えているのが分かる。
あなたは慌てて話題を戻した。
その「うん」は、優しかった。
あなたは深く息を吸う。
少し言葉が詰まる。
声が小さくなる。
本音だった。
モモは、何も言わずに最後まで聞いてくれている。
それだけで、少し安心する。
自分でも気づいていなかった言葉が、ぽろっと零れた。
電話の向こうで、少し息を吸う音がした。
〜モモ side〜
あなたの声は、震えていた。
でも、逃げていなかった。
ちゃんと、自分の言葉で話している。
昨日ジヒョに言われた言葉がよぎる。
——これからどうなりたいの?
モモは、ゆっくり口を開いた。
少し間を置く。
思わず笑いが重なる。
その瞬間、緊張が少しほどけた。
モモは続ける。
ほんの少し、声が柔らかくなる。
自分で言ってから、少し胸が熱くなる。
でも止めない。
電話越しに、息を呑む音が聞こえる。
〜あなたside〜
“あなたちゃんやから”。
その言葉が、胸の奥に落ちる。
必要とされた。
ほんの少しでも。
──自分を必要としてくれる場所。
声が震える。
少し笑い合う。
あなたは、そっと言う。
通話終了ボタンに指を伸ばす。
その瞬間——
モモの声が少し大きくなる。
あなたの指が止まる。
モモは少しだけ息を整えてから言った。
少し照れ笑いが混じる。
その言葉は、約束みたいだった。
あなたの胸が、じわっと熱くなる。
今度は、迷わず言えた。
少しだけ、名残惜しい沈黙。
どちらも切りたくないけれど、ちゃんと未来があると分かっている。
切れる。
部屋は静かなのに、心臓の音だけがうるさい。
でもさっきまでの不安とは違う。
温かい。
確かに、何かが変わった。
隣の壁一枚向こうにも、同じように眠れなくなっている人がいることを、二人は知らない。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。