第61話

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2026/03/12 14:25 更新
〜あなたside〜










MOMO
MOMO
📞……もしもし


受話口から聞こえた声に、心臓が跳ねた。
(なまえ)
あなた
📞あ、モモさん!? い、今大丈夫ですか!? 仕事中じゃないですか!? 迷惑じゃないですか!?


一気に言葉が溢れる。



電話をかけると決めたくせに、出てくれたことが信じられなくて、頭が真っ白だった。





受話口の向こうで、くすっと笑う気配がする。
MOMO
MOMO
📞笑笑、落ち着いて。もう今日仕事終わってん。
(なまえ)
あなた
📞……あ、そうなんですね……よかった……
MOMO
MOMO
📞帰ってきて、家でゆっくりしてた



一瞬、間が空く。

MOMO
MOMO
📞……ちょうど、あなたちゃんのこと考えてたし


その一言。



心臓が止まりかけた。
(なまえ)
あなた
📞……え?
MOMO
MOMO
📞ん?



モモの声は、本当に無意識みたいだった。





あなたは言葉を失う。



耳の奥が熱い。顔が一気に赤くなるのが分かる。

(なまえ)
あなた
(今、なんて……)


沈黙が落ちる。



電話越しなのに、空気が伝わる。


お互い、息を整えているのが分かる。




あなたは慌てて話題を戻した。
(なまえ)
あなた
📞そ、それで……あの、昨日のことで相談したくて……
MOMO
MOMO
📞うん

その「うん」は、優しかった。



あなたは深く息を吸う。
(なまえ)
あなた
📞昨日、マネージャーさんにアシスタントのお話をいただいて……正直、すごく嬉しかったです。韓国語も勉強してきたし、自分の成長にもなると思うし……挑戦してみたい気持ちもあって


少し言葉が詰まる。
(なまえ)
あなた
📞でも……

声が小さくなる。
(なまえ)
あなた
📞私は、ファンで……。今こうやってモモさんと電話できてること自体が、すごく特別で。そんな私が、仕事として近くにいていいのかって……


本音だった。
(なまえ)
あなた
📞線を越えてるんじゃないか、とか。迷惑にならないかな、とか……


モモは、何も言わずに最後まで聞いてくれている。



それだけで、少し安心する。

(なまえ)
あなた
📞……怖いんです。近くにいればいるほど、失うのも怖くなる気がして


自分でも気づいていなかった言葉が、ぽろっと零れた。




電話の向こうで、少し息を吸う音がした。






〜モモ side〜






あなたの声は、震えていた。


でも、逃げていなかった。


ちゃんと、自分の言葉で話している。

MOMO
MOMO
(ほんまに、真っ直ぐやな)



昨日ジヒョに言われた言葉がよぎる。



——これからどうなりたいの?



モモは、ゆっくり口を開いた。
MOMO
MOMO
📞あなたちゃん
(なまえ)
あなた
📞……はい
MOMO
MOMO
📞最後までちゃんと話してくれて、ありがとうな


少し間を置く。

MOMO
MOMO
📞あなたちゃんがアシスタントになってくれたらな、メンバーも変に気ぃ使わんでええと思うねん
(なまえ)
あなた
📞え?
MOMO
MOMO
📞昨日もな、みんな言ってたで。礼儀正しいし、ガツガツしてへんし、安心できるって
(なまえ)
あなた
📞……たしかに、ガツガツはしてないです


思わず笑いが重なる。



その瞬間、緊張が少しほどけた。





モモは続ける。

MOMO
MOMO
📞それに……


ほんの少し、声が柔らかくなる。
MOMO
MOMO
📞モモは、嬉しい
(なまえ)
あなた
📞……え?
MOMO
MOMO
📞仕事現場に、あなたちゃんがおってくれたら。たぶん、安心すると思う


自分で言ってから、少し胸が熱くなる。




でも止めない。

MOMO
MOMO
📞あなたちゃんやからこそ、お願いしたいって思うねん。誰でもええわけちゃう


電話越しに、息を呑む音が聞こえる。






〜あなたside〜







“あなたちゃんやから”。



その言葉が、胸の奥に落ちる。






必要とされた。



ほんの少しでも。

(なまえ)
あなた
(ここが……)


──自分を必要としてくれる場所。

(なまえ)
あなた
📞……ありがとうございます


声が震える。

(なまえ)
あなた
📞前向きに、考えてみます。本当に……勇気出して電話してよかったです
MOMO
MOMO
📞うん笑


少し笑い合う。



あなたは、そっと言う。

(なまえ)
あなた
📞じゃあ……今日は、ありがとうございました


通話終了ボタンに指を伸ばす。





その瞬間——

MOMO
MOMO
📞待って!


モモの声が少し大きくなる。



あなたの指が止まる。

(なまえ)
あなた
📞……はい?



モモは少しだけ息を整えてから言った。

MOMO
MOMO
📞家、隣やろ?
(なまえ)
あなた
📞……はい
MOMO
MOMO
📞いつでも頼ってええからな。直接でも、電話でも


少し照れ笑いが混じる。
MOMO
MOMO
📞自分も空いた時間にカトク送るし。連絡、とろーな



その言葉は、約束みたいだった。



あなたの胸が、じわっと熱くなる。

(なまえ)
あなた
📞はい…!

今度は、迷わず言えた。
(なまえ)
あなた
📞よろしくお願いします
MOMO
MOMO
📞こちらこそ



少しだけ、名残惜しい沈黙。



どちらも切りたくないけれど、ちゃんと未来があると分かっている。

MOMO
MOMO
📞……おやすみ、あなたちゃん
(なまえ)
あなた
📞……おやすみなさい、モモさん



切れる。



部屋は静かなのに、心臓の音だけがうるさい。







でもさっきまでの不安とは違う。





温かい。







確かに、何かが変わった。










隣の壁一枚向こうにも、同じように眠れなくなっている人がいることを、二人は知らない。


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