朝一番、完成したばかりのデモ音源をメンバーに
聴かせると、全員が息をのんで顔を見合せた。
ジスオンニの叫び声と、
抱きついてくるロゼやリサの温もり。
ジェニオンニの満足そうなくしゃっと笑う顔を見て、
胸の奥が熱くなった。
そこからの日々は、まさに怒涛だった。
怒涛のレコーディング、寝る間も惜しんだダンスレッスン
そしてMV撮影。
悩んで立ち止まっていた時間が嘘のように、
デビューに向けて走り出した。
ーーそして迎えた、デビュー当日。
デビュー記者会見と、V LIVEでの世界生中継を兼ねた
デビューショーケースの当日。
2NE1先輩以来、YGから7年ぶりに誕生する
新人ガールズグループとして、会場には世界中から
溢れんばかりの記者やカメラマンが集まっていた。
控え室の大きな鏡の前で、いつもより洗練されたメイクと
衣装を身にまとった自分が映っている。
静かに息を吐き出すけれど、
胸のバクバクは一向に収まらない。
ドアの向こうからは、カメラのテストフラッシュの音や、
忙しなく行き交うスタッフの緊張した声が聞こえてくる。
いよいよ、本当に始まるんだ。
私たちが世界にお披露目される。
私の様子を見て、
心配そうに私の手をぎゅっと握ってくれる。
普段クールであまり褒めたりしないオンニが
そう言ってくれたことがすごく嬉しくて、安心して、
さっきまでの緊張が嘘みたいに消えていく。
そして、迎えた午後3時。
スポットライトが照らし出す眩しいステージへ、
私たちは一歩を踏み出した。
無数のカメラのフラッシュ、息をのむ記者たちの視線。
V LIVEを通じて、今この瞬間も
世界中のファンが私たちを見つめている。
1人ずつ、簡単なプロフィールが紹介され
自己紹介と意気込みを語っていく。
メンバーの紹介が終わったあと
スクリーンに映し出されたのは、
あの夜、ジヨンオッパの言葉から生まれた
『WHISTLE』のミュージックビデオだった。
会場に響き渡る、印象的な口笛の音。
画面の中で歌い踊る自分たちの姿を見つめながら、
アイドルとしてデビューする夢がやっと叶ったこと、
幼くしてひとりで韓国へ渡り、不安で辛かったこと、
今までのデビューまでの道のりが思い出されて、
すごく不思議で、でもとても幸せな感情になった。
同日午後8時。
楽曲が音源サイトで一斉にリリースされると同時に、
チャートは瞬く間に私たちの名前が上位を占めた。
ほかにも当時のガールズグループ史上最速で
音楽番組1位に輝くなど、
数々の異例の快挙を成し遂げる結果となり、
私たちのデビューは大成功で幕を閉じた。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。