分かっているのだ。
彼女が根っからの悪人でないことくらい。
でも、許せない。あの子を殺したことが。
ソウさんを、彼を復讐に囚われる人間にしたことが。
どうして想像できなかったの?
カンナちゃんを殺して、
彼が皆の脱出に協力してくれると思ったの?
それって、いくらなんでも傲慢でしょう。
確かに貴方は被害者。
殺したくなかったことだって分かってる。
でももう、貴方の事情を汲み取るとか、
想像するとか、もう全部したくない。
カンナちゃんは死んだ。彼女の投票で。
それだけでいい。
脱線した話を彼が元に戻す。
私たちは 奥の部屋に進むことになった。
あの部屋から繋がっていた別の部屋には、
沢山の絵………いや、おそらくは写真が飾られていた。
特に目につくのは、ナオさんのあの光景だ。
お腹を圧迫された、あの処刑の。
気持ち悪い。吐き気がした。
気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い許せない!
フロアマスターの、誘拐犯側の不正で
彼女は死ぬことになったのに。
何の関係もない参加者だった彼女は、
死ななくてよかったはずなのに。
どこまで私たちを馬鹿にして、愚弄すれば気が済むの?
……切り替えよう。
別の写真に目をやる。
シンくんの写真があった。そして、
私と、シンくんと、彼とで撮った写真が。
そうだ。ソウくんが突然、
写真を撮ろうと、いつかの日に言っていた。
彼はどうやらシンくんの写真が撮りたいようだったが、
私も入れての3人での写真も撮ってくれたのだ。
嬉しかった。嬉しかった、のに。
私たちの写真の下にも、
ソウくん……ミドリの自画像のようなものがあった。
自分の写真を飾るのは正直意外だ。
彼がそんなことするとは思えない。
そう思いつつ、彼の絵を凝視していると、
………喋った。
どうやらこれはテレビ通話らしい。
彼は全ての部屋を監視しているという。
レコさんの話を持ち出されたことで
アリスさんは激高する。
「もう一度お前を葬ってやる」とまで言い出した。
そんな中、ソウさんが会話に混ざる。
ひどく優しく、彼は聞き返す。
何度も聞いた、あの日々と変わらない優しい声だった。













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!