病院の自動ドアが開いた瞬間 、
外の春の匂いが途切れる 。
代わりに 、消毒の匂いが鼻に入る 。
ここに来るのは2回目 。
1回目と違って私たちの空気は重たい 。
受け付けであれこれ作業し終わり 、
待合室で5人並んで座ってる 。
前と同じ椅子 、
前と同じ白い壁 。
でも今日はやけに音が大きい 。
時計の秒針の音 、
紙をめくる音 、
誰かの咳払いの声 。
私の心臓の鼓動の音が
1番大きく聞こえる 。
緊張で手足の指が冷えきっている 。
ウェンが心配して声をかけてくれた 。
それだけでも少し緊張が
ほぐれた気がする 。
リトは腕を組んだまま黙っている 。
イッテツは俯いたまま微動だにしない 。
マナは天井を見上げているけど
視線はどこか遠い 。
名前が呼ばれ 、診察室に入る 。
座っている医者のそばの机の上には
分厚いファイルが置かれていた 。
こっちを見た医者は
少し驚いた表情をし 、
私を椅子に座るように促す 。
医者は静かにファイフを開き 、
話し出した 。
息を吸う音 。
それが誰のものか分からない 。
そう告げられた内容の意味が
何もわからなかった 。
でも 、私の体は普通の人とは
違うことだけ伝わった 。
医者は淡々と続ける 。
時間 。
誰もすぐには口を開かない 。
リトの指が机の縁を強く掴んでいるのが
視界に入った 。
4人がいる後ろからは
何も音が聞こえない 。
一瞬 、険しい表情を浮かべながら
言葉を選ぶ医者 。
3年 … 、7年 …… 。
数字になった瞬間 、
急に現実味が増す 。
イッテツの声は低く 、震えていた 。
医者は静かに告げる 。
自分の手を見つめた 。
今はちゃんと動いてる 。
指も 、呼吸も 、心臓も 。
今は 。
なら 、まだ今は 。
大丈夫 。
小さく息が漏れる 。
怖いのかどうかも分からない 。
すごく夢を見てるような感覚 。
それ以上誰も喋らないまま 、
診察室を出た 。
廊下がやけに長い 。
4人は何も言わない 。
でもいつもより距離が近い 。
私が消えるのを恐れているみたいに 。
春の光が差し込む 。
世界はちゃんと動いてる 。
でも医者が言った 。
‘’ 体内の時間が緩やかになっている ”
自分の中だけ 、
少し違う速度で進んでいるのだとしたら
それはどういうことなんだろう 。
昨日の17:00に投稿するはずだったのに 、
予約されてなかった … 。🥲
書きだめ少なくなってきたので
投稿ペース落としてます … 。
next ➪ episode . 5












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!