すでに亡き両親に挨拶をして
ドアを閉める。
鍵を掛けたら、準備はバッチリだ
近所の方への挨拶は明るく。
困っている人がいれば、快く手伝いを
見返りは求めない。
これが近所で広まっている、
優しい凛ちゃん なのだろう
自分でもわかっている。
なんでこんなことをするのか、と聞かれても
本当のことは言わずに、ただ笑顔で
当たり前のことをしているだけです、と言う。
踏み込まれそうになったら、
学校なので、失礼します
と言って躱す。
こんなミステリアスな少女は、
今日も元気そうに学校へ向かう。
いつもの習慣通り、きちんとした服装
先生への挨拶は忘れず、
生徒指導の先生には
労いの言葉も忘れずに。
優等生としか言いようのない少女は、
きっと今日も苦しみながら生き続ける。
なぜならそれが、それだけが
少女の使命で、生きる理由なのだから
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!