第7話

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2023/10/14 16:32
桃瀬さとみ
おま、早く出せって言っただろ
あなた
すみません、書くことなくて
桃瀬さとみ
なんか傷つく
不貞腐れながら教室のドアを閉める先生
そんな先生がかわいいと感じてしまった
昼休み
昼休みは、中庭でそらと待ち合わせが定番化している
一ノ瀬そら
ねぇー
あなた
ん?
一ノ瀬そら
弁当は
あなた
あぁ
あなた
家に忘れた
一ノ瀬そら
じゃーはい
一ノ瀬そら
あーげる
自分の持ってるお弁当を私に差し出す、そら
一ノ瀬そら
お腹すいてない
あなた
それは嘘に決まってる
一ノ瀬そら
いや、嘘じゃない
一ノ瀬そら
私、弁当2個持ちだし
一ノ瀬そら
ほーら
一ノ瀬そら
食え食え〜
あなた
いやだって
あなた
バレー部今日部活あるでしょ?
あなた
いつも2個目の方は、部活の後に食べてって
一ノ瀬そら
いーの
一ノ瀬そら
ちょうどダイエットしようと思ってたとこだし
一ノ瀬そら
あんたも部活あんでしょ
一ノ瀬そら
親友に倒れられたら困るよー

そらのこういうところが好きだ
母親が何も作らなくなって数日、とうとう弁当箱まで無くなった奴に笑顔で自分のあげちゃうとことか
気を使って、嘘までつくとことか
ただただ、1人の友達
1人の親友として扱ってくれるとことか
出会えてよかったって思わせてくれる
一ノ瀬そら
うわぁ!!!
一ノ瀬そら
さとみ先生!!!

だからこそ
この感情はいらない
裏切りたくない
見るな
桃瀬さとみ
桃瀬さとみ
一ノ瀬に

期待するな
桃瀬さとみ
あなたの名字
やめて
桃瀬さとみ
あ、これ
桃瀬さとみ
今日の
だめ
一ノ瀬そら
今日何書いたのー??
桃瀬さとみ
んー、秘密ー
桃瀬さとみ
な?
先生は
後悔したことはありますか
あの日のことを思い出して、流れで書いてしまった
自分の発言を後悔した、あの日
あの日から、お母さん
母は一切包丁を握らなくなった
数日間は、自力で弁当を作っていた私も
弁当箱が無くなった今朝は何もすることが出来なかった



昼休みが終わり、5限が始まる5分前
あの日記を開いた
後悔が無い人生なんてないよ。

放課後、学年室集合な
大川菜月
あなた!!!
大川菜月
次移動だよ!?
あなた
あ、ごめん笑
滲み出そうなものを閉じ込めて、笑顔で友達の元へ向かった

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