第42話

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2025/09/28 03:03 更新
任務明けの翌日


昼過ぎの坂本商店はゆるやかな空気が流れていた
窓から差し込む陽射しが、カウンターに置かれたコーヒーをきらりと光らせる

あなたは伝票整理をしていて、南雲はその向かいに腰を下ろしていた
昨日の“あの一言”が頭から離れない
南雲与市
ねぇ、あなた
あなた
ん?何?
南雲与市
昨日、帰りの車でさ、僕に何か言ったよね
あなたはペンを止めて首をかしげる
あなた
え?言った?任務のことなら……
南雲与市
任務の話じゃなくて、もっと、こう……僕に向かって
南雲はさらりと微笑みながらも、心臓がドクンと鳴る
あなた
……?
南雲与市
“与市”って、下の名前、呼んでくれたでしょ?
あなたの頬がかすかに赤く染まった
あなた
……呼んでないよ、たぶん
南雲与市
いや、確かに聞いたよ、神々廻も証人だし
あなた
えっ!? 神々廻まで!?
あなたは慌てて視線をそらした
耳までほんのり赤い
南雲与市
だから、もう一回、今、呼んで
あなた
え、いきなり?
南雲与市
いきなりでいいから
南雲は肘をテーブルに置き、軽く身を乗り出す

その笑顔はいつもの穏やかさに、少しだけ意地悪な色が混じっていた
あなた
……むり
南雲与市
なんで?
あなた
恥ずかしい……から
あなたは両手で顔を隠す
指の隙間から覗く瞳が、ほんのり潤んで見えた
南雲与市
僕、昨日のすごく嬉しかったんだよ?だから、もう一回だけ聞きたい
その優しい声に、あなたはゆっくりと顔を上げた
あなた
……与市
かすかな声
でも南雲にははっきり届いた
南雲の笑顔は、昨日よりもずっと柔らかかった
あなた
でも、なんでそんなに嬉しそうなの
南雲与市
だって、あなたが僕の名前を呼ぶと、なんか特別な気がするから
あなた
もう……大げさ
あなたは視線を落とし、でもその口元には小さな笑みが浮かんでいた

南雲は胸の奥に広がる温かさを感じながら、
「この名前を、もっとたくさん呼んでほしい」
心の中でそっと願った

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