評価任務を終えた生徒たちが、次々と教室へ戻ってくる。
制服には土埃がつき、肩で息をする者もいれば、机に突っ伏して動かない者もいる。
それは目の前のバディ、天野初瑠にも同様で、自分の席に腰を下ろすなり、机へ突っ伏した。
即答だった。
俺は小さく息をつき、自分の席へ座る。
ふと教室を見渡すと、空席がいくつか目についた。
その呟きに、少女も顔を上げる。
ガラリ、と教室の扉が開く。
担任が入ってきた。
教室は自然と静まり返る。
担任は出席簿を開き、一人ひとりの顔を確認していく。
その一言だけ告げると、出席簿を閉じた。
淡々とした説明だった。
その一言で、教室の空気が変わる。
ざわり、と教室が揺れる。
静寂。
誰も口を開かない中、
天野が、おそるおそる手を挙げた。
教室中の視線が集まる。
担任は天野を見つめる。
数秒の沈黙。
そして、口を開いた。
一瞬、誰も理解できなかった。
誰も答えない。
担任は教壇へ寄りかかって、生徒全員を見渡した。
教室の空気が張り詰める。
しばらくして、一人の男子生徒が立ち上がった。
続いて別の生徒も立ち上がる。
一人、また一人。
静かだった教室に、少しずつ動きが生まれていく。
天野がこちらを見る。
窓の外へ目を向ける。
第三訓練棟。
さっきまで自分たちが走っていた区域。
ちょうど、消化器をぶちまけた、あそこ。
失踪したまま、なんて胸糞悪い話があってたまるか。
天野の表情がぱっと明るくなる。
勢いよく立ち上がった彼女は、慌てて机に膝をぶつけた。
そんなやり取りをしながら教室を出ようとした、そのときだった。
担任の声に二人で振り返る。
その一言だけを残し、担任は黙った。
表情が変わる。
天野も笑顔を消す。
短く返事をすると、二人は教室を飛び出した。
廊下には、すでに何組ものバディが走り出している。
誰よりも早く見つけたい者。
バディとしての評価を上げたい者。
純粋に人を助けたい者。
それぞれの思いを胸に、学園中へ散っていく。
少年は隣を走る天野に目を向けた。
その言葉に、小さく目を見開いた。
そして、静かに前を向く。
二人はまだ知らない。
この選択が、自分たちの運命を大きく変えることを。










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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。