私は準備をしながら色々考える。
まず、普通になんで私はゲームの世界なんかに転生したのか。
死ぬ前に良い行いをしたわけでもない。
勿論、善良な人間か、と聞かれたらはい、とも答えられない。
『 はぁ 』
随分厄介な所に来ちゃったな…。
いや、まあ文ストキャラには一度は会ってみたいなって思ってたし、勿論嬉しい。
けど、攻略は…なんか違う。
そもそも、私はガチ恋民じゃないし…、特定の
"推し"なんていないし…。
ごちゃごちゃと考えていると身支度が終わった。
『 ねぇ 』
はい、なんでしょう
私が声を掛けると頭に機械的な声が響く。
『 あ、本当に受け答えしてくれるんだ 』
はい、それが仕事なので
ご用件は何でしょう
『 道案内ってしてくれる? 』
畏まりました、道案内ですね
『 あ、ハイ… 』
私は慣れていない対応に片言な返事をする。
では、まず部屋を出て、鍵を閉めてください
そんなことぐらい分かるわ。と思いながらも司会者の云う通りに行動する。
次は……
このビルです
『 ここが探偵社か… 』
では次はエレベーターを…
『 ちょ、流石にもういい 』
『 何階にあるかぐらい漫画読んだらば分かるし 』
畏まりました、では、何かあったら呼んでください
『 う、うん 』
私が返事をすると機械的な声は聞こえなくなった。
私は少しドキドキする心臓をギュッと服越しに握り締め、ビルの中に入った。
ドアの前。
時計を見るともう出社する時間だ。
ただ…。
緊張して入れない。
てか入れるわけない。
前まで漫画で見た世界にいるなんて、生で宮野さんとか上野さんとか神谷さんのボイスが聞けるなんて。
やばい、矢っ張りダメかも…。
私が扉の前でうじうじしていると…
?? 「 あれ?音羽さん、? 」
?? 「 あなた、? 」
『 え 』
このヘタレを感じさせる声とエマっぽい声…。
私はゆっくり後ろを振り返る。
『 あ…中島くんと泉さん、? 』
いや、何時もは敦くんとか鏡花ちゃんとか云ってるけど何時もの私ってなんて呼んでるかわからないし…。
中島 「 中島くん…?音羽さんは何時も敦くんって読んでますよ、? 」
泉 「 私の事も泉さんなんて呼んだことない 」
『 あ、そっか。御免、ちょっと寝惚けてるみたい 』
中島 「 音羽さんが寝惚けるって珍しいですね 」
『 まあ、ちょっと変な夢見て 』
やばい、変な人だと思われる。
ていうか、さっきから気にしてなかったけど頭上に数字みたいなのある。
敦くんと鏡花ちゃんは…
82 % と 89 %…。
確か、80〜90が普通。
という事は、敦くんは普通で、鏡花ちゃんは友達の一歩手前…。
これを 260 % か…。
泉 「 あなた…? 」
中島 「 大丈夫ですか、? 」
『 …!、御免、大丈夫 』
『 ぼーっとしてただけだから 』
中島 「 本当に大丈夫ですか、? 」
『 うん 』
あんまり考え込んでると怪しく思われる。きっと好感度にも関わってくるから気を付けないと。
私達が扉の前でわちゃわちゃやっていると、思いっきり扉が開いた。
?? 「 御前ら、扉の前で何をやっている! 」
中島 「 あ、国木田さん、! 」
国木田 「 全く、早く入って仕事をしろ 」
中島 「 は、はい!鏡花ちゃん、音羽さん、早く行きましょう 」
泉 「 分かった 」
「 行こう、あなた 」
『 …、うん 』
私達は大人しく探偵社に入った。
それにしても、国木田さん…
80 % って微妙過ぎませんか…。
下手したら嫌い部類に入りそう…。
気を付けないとな。













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。