⚠注意事項⚠
治、侑、キツネ化🦊🤘
とある昔のこと
寒い冬が北方から、きつねの親子の住んでいる森へやってきました。
ある朝、ほら穴から二匹の小ぎつねが出ようとしましたが。
「あっ。」とさけんで、目を押さえながら転げて母さんぎつねのところに来た子狐が一匹。
何かを言いながら目を押さえてる小ぎつねの隣と歩いておる小ぎつねが一匹。
母さんぎつねに向かっていきます。
と双子の小ぎつねたちが言いました。
母さんぎつねがびっくりして、あわてふためきながら、目をおさえている子どもの手を、おそるおそる取りのけてみましたが、何もささってはいませんでした。
母さんぎつねは、ほら穴の入り口から外へ出て、初めてわけがわかりました。昨夜のうちに、真っ白な雪がどっさり降ったのです。
その雪の上からお日様がきらきらと照らしていたので、雪はまぶしいほど反射していたのです。
雪を知らなかった双子のきつねは、あまり強い反射を受けたので、目に何かささったと思ったのでした。
双子の小ぎつねは遊びに行きました。真綿のようにやわらかい雪の上をかけ回ると、雪の粉こが、しぶきのように飛び散って、小さいにじがすっと映るのでした。
するととつ然、後ろで、「「ドタドタ、ザーッ。」」とものすごい音がして、パン粉のような粉雪が、ふわぁっと二匹の子ぎつねにおっかぶさってきました。
二匹の子ぎつねはびっくりして、雪の中に転がるようにして、十メートルも向こうへにげました。
なんだろうと思って、ふり返ってみましたが、何もいませんでした。
それは、もみの枝から雪がなだれ落ちたのでした。
まだ、枝と枝の間から、白い絹糸のように雪がこぼれていました。
間もなくほら穴へ帰ってきた双子の子きつねの兄は、
といって真っ赤になって冷たくなった双子の弟、治の手をお母さんぎつねに差し出しました。
よく見ると、双子の兄、侑の手も冷たく赤くなっていました。
母さんぎつねは、その手に、はあっと息をふっかけて、ぬくとい母さんの手でやんわり包んでやりながら、
と言いましたが、かあいいぼうやの手にしもやけができてはかわいそうだから、
夜になったら、町まで行って、双子のおててに合うような毛糸の手ぶくろを買ってやろうと思いました。
暗い暗い夜が、ふろしきのようなかげを広げて、野原や森を包みにやってきましたが、
はあまりに白いので、包んでも包んでも白くうかび上がっていました。
親子の銀ぎつねは、ほら穴から出てきました。
双子の小ぎつねのほうは、お母さんのおなかの下に入り込んで、そこから真ん丸な目をパチパチさせながら、
あっちやこっちを見ながら歩いていきました。
やがて、ゆくてにぽっつり、明かりが一つ見え始めました。それを子どものきつねが見つけて、
と聞きました。
と言って、そのとき、母さんぎつねの足はすくんでしまいました。
その町の灯を見たとき、母さんぎつねは、あるとき町へお友達と出かけていって、とんだめにあったことを思い出しました。
およしなさいって言うのも聞かないで、
お友達のきつねが、ある家のあひるをぬすもうとしたので、
お百しょうに見つかって、さんざ追いまくられて、
命からがらにげたことでした。
と、双子のきつねがおなかの下から言うのでしたが、
母さんぎつねはどうしても足が進まないのでした。
そこで、しかたがないので、双子の小ぎつね、二人で町に行かせることになりました。
と母さんぎつねは言いました。双子の侑の手を母さんぎつねがにぎっている間に、
かわいい人間の子どもの手にしてしまいました。
侑は、その手を広げたり、にぎったり、つねってみたり、かいだりしました。
と言って、双子は、雪明かりに、またその、人間の手に変えられてしまった自分の手を、しげしげと見つめました。
と、母さんぎつねは言い聞かせました。
と、双子の小ぎつねは聞き返しました。
と言って、母さんのきつねは、持ってきた四つの白銅貨を、治の手のほうへにぎらせてやりました。
双子の小ぎつねは、町の灯をめあてに、雪明りの野原をよちよちやってゆきました。
はじめのうちは一つきりだった灯が、二つになり三つになり、果ては、十にも増えました。
きつねの双子はそれを見て、灯には、星と同じように、赤いのや黄いのや青いのがあるんだなと思いました。
やがて町に入りましたが、通りの家々はもうみんな戸を閉めてしまって、
高い窓から暖かそうな光が、道の雪の家に落ちているばかりでした。
けれど、表の看板の上には、たいてい小さな電灯がともっていましたので、きつねの子は、それを見ながら、
ぼうし屋を探してゆきました。
自転車の看板や、眼鏡の看板やそのほかいろんな看板が、あるものは新しいペンキでえがかれ、
あるものは古いかべのようにはげていましたが、
町に初めて出てきた双子の子ぎつねには、それらのものがいったいなんであるかわからないのでした。
とうとうぼうし屋が見つかりました。お母さんが道々よく教えてくれた、
黒い大きなシルクハットのぼうしの看板が、青い電灯に照らされてかかっていました。
双子の子ぎつねは教えられたとおり、トントンと戸をたたきました。
すると、中では何かコトコト音がしていましたが、やがて、戸が一寸ほどゴロリと開いて、
光の帯が道の白い雪の上に長くのびました。
双子の侑は、その光がまばゆかったので、めんくらって、
まちがったほうの手を――お母様が出しちゃいけないよと言ってよく聞かせたほうの手を――すき間から差しこんでしまいました。
すると、ぼうし屋さんは、おやおやと思いました。きつねの手です。
きつねの手が手ぶくろをくれと言うのです。
これはきっと木の葉で買いに来たんだなと思いました。そこで、
と言いました。
治は、素直ににぎってきた白銅貨を四つ、ぼうし屋さんにわたしました。
ぼうし屋さんは、それを人差し指の先にのっけて、かち合わせてみると、
チンチンとよい音がしましたので、これは木の葉じゃない、
ほんとのお金だと思いましたので、たなから子ども用の毛糸の手ぶくろを取り出してきて、
双子の子ぎつねの手に持たせてやりました。双子の子ぎつねは、お礼を言ってまた、もと来た道を帰り始めました。
と侑は、思いました。
けれど双子の子ぎつねは、いったい人間なんてどんなものか見たいと思いました。
ある窓の下を通りかかると、人間の声がしていました。
なんというやさしい、なんという美しい、
なんというおっとりした声なんでしょう。
子ぎつねは、その歌声はきっと人間のお母さんの声にちがいないと思いました。
だって、双子の子ぎつねがねむるときにも、やっぱり母さんぎつねは、あんなやさしい声でゆすぶってくれるからです。
すると、今度は子どもの声がしました。
すると、母さんの声が、
それを聞くと、双子の子ぎつねは急にお母さんがこいしくなって、お母さんぎつねの待っているほうへ飛んでいきました。
お母さんぎつねは、心配しながら、ぼうやのきつねの帰ってくるのを、
今か今かとふるえながら待っていましたので、
ぼうやたちが来ると、温かい胸にだきしめて、泣きたいほど喜びました。
二ひきのきつねは森のほうへ帰っていきました。
月が出たので、きつねの毛なみが銀色に光り、
その足あとには、コバルトのかげがたまりました。
と言って、双子は手ぶくろのはまった両手をパンパンやって見せました。お母さんぎつねは、
といって呆れましたが
とつぶやきました。
――――――――――めでたしめでたし――――――――――













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。