「私、此処だから。」
もう終わってしまった
彼女との会話も、対話も、全てが終わる
『あ、あ.........』
名残惜しい。残念だなぁ...
「......またね。」
そんな僕を見かねた彼女は、またねと言った。
またね、
また会おうという意味の別れの挨拶。
ぱたん、と扉が閉まった頃、僕の顔に溜まる熱は、最高潮を迎えていた。
『あなたちゃん。』
さよならじゃない、またねなんだ。
彼女は僕に、明日も君に会う権利を与えてくれたんだ。
女神以外の何者でも無いだろう。
でも女神だって、一つや二つ位、耐えられない事はあるだろうね?
『明日からが楽しみだね。あなたちゃん......♡?』
純粋で無いこの偽の感情は、僕を可笑しくさせるのには充分だった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!