あなたからオファーされて1ヶ月。
今日はメンバーを含めた最後の撮影。
こっちでの仕事のみにするんかな。
俺らは衣装にも着替えて待機。
まずは全員で撮影。
スタジオに入り更にあなたを待つ。
虹色のウエディングドレス。
特注なんやって。
カメラマン
「柚木さんを7人が囲って上見て」
あなたのマネージャー
「一回止めてもらっていい?」
編集長
「どうかしました?」
あなたのマネージャー
「さっきのやりとりであなた顔真っ赤だから」
カメラマン
「ほんとだ(笑)」
数分で再開。
あなたは笑顔で白い花で作られたブーケを持って上に掲げた。
カメラマン
「いいねー」
あなたの衣装チェンジと個別での撮影。
メンバーカラーに合わせてウエディングドレスも俺らのメンバーカラーにしたんだって。
メンバーの撮影を終えて俺以外は着替えも済ませてスタジオに集まってきた。
いつもなら騒がしい撮影スタジオも俺とあなたのやり取りも気になるのか静かだった。
そして、記念にとあなたのマネージャーが動画を撮り始めた。
あなたのマネージャー
「あなた!何も気にしないで悔いのないように言っておいで!」
カメラマン
「指示しないから好きなようにしていいよ」
あなたは涙を溜めて今にも泣きそうな声で話し出した。
嬉しくて、でもあなたがずっと抱えてきてたことを考えたら自然に涙出てきた。
鼻を啜る音が響くスタジオ。
本気であなたが言ってるとは思えなかった。
最近笑えるようになって、事務所の中でも話題に上がってたぐらい。
みんながいるのわかってる。
でも抱きしめるしかなかった。
俺は親指であなたの涙を拭ったあと
額に優しく、優しくキスした後
あなたはポロポロ涙流してた。
あなたは自分で涙を拭いて大きく頷いてくれた。
俺はあなたと飛びっきりの笑顔で手を繋いでバンザイをした。
これがリアルだったらな…
スタジオにいる人たちをあなたと見ると、
カメラマン、編集長、あなたのマネージャー、俺のメンバー、俺らのマネージャー、そして今日のためにフランスから来てくれたスタッフの皆さんが号泣してた。
俺とあなたは見合わせてクスッと笑った。
撮影を終えた後カメラマンが
カメラマン
「ドラマだねー。結婚式するときは呼んで!最高の写真撮ってあげる」
しげの言葉にスタジオが笑いに包まれた。
雑誌は特別に日本で俺らのFC会員限定で予約販売され、いつも以上に売れたらしい。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。