日曜の午後、
心配性なミン先生から電話がかかってきた。
図書館に来ていた私は、
外に出てすぐに電話をとった。
顔にハンディファンの風を当てながら
日陰の少ない大通りを歩く。
腕の傷を隠すための長袖が
暑さを倍増させるようだった。
「自分の意見を言えるのはいいことだ」と
ミン先生が言ってくれるから、
気を許せる先生には正直に話すようにしている。
先生に嘘をついたり誤魔化したりするのは
もうこりごりだ。
家に着くまでの数分間、
好きな人と通話するのはすごく幸せで、
自然と歩く速度も遅くなる。
今日は家に母がいるから
きっとこの後スマホは没収されるだろう。
月曜日、そうだ、あと半日耐えれば
また先生に会える。
朝早く登校すれば2人きりになれるし、
ホソガは毎日塾だから放課後も残れる。
私は休日よりもずっと平日の方が待ち遠しかった。
おかえりなんて存在しないこの家。
開口一番に詰め寄られるのはいつものことで、
私は以前よりも語気を強めて話すようにした。
それもこれも全部ミン先生のおかげ。
…自分で私が留年した時に塾をやめさせたくせに
一体何を言っているのか。
そんな私の心の声など露知らず、
母は好き勝手喋り続ける。
あぁもうだからホソガの母親になればいいのに。
そうだよ、私と違ってあの人は優秀だから
不出来な娘を見てイライラすることもないよ。
だから行きなよ。あの人のところに。
止めないから、戻ってこなくていいから。
自分の部屋に入って鍵を閉めてから、
私はそう呟いた。














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。