…大事なもの。
頭に浮かぶのは1人やった。
あん時、濵田さんに『彼氏がおるか』って聞かれた時も。
頭に浮かんだのはただ1人で
それは大穀やなくて
満面の笑顔を浮かべるあき兄やった。
大穀のことを忘れたことは1日もなくて
今でも、ずっと好きや…って思っとる。
それでも、心の中にはあき兄がいて
真夏に咲くひまわりみたいな、あき兄が…
だから、あの時は自分にびっくりしたんや。
いつの間にか大きくなっていった存在に…
ずっと黙ってた気持ち、ここでなら話せそな気がしてた。
小さい頃、いつもあき兄にくっついてて、
『将来はあき兄のお嫁さんになる』
って、ずっとそう思ってた。
高校生のあき兄の周りにはいつもキレイな子がおった。
私はいつまでも、妹扱いで…
それが嫌で、悲しくて。
あき兄を諦めるために、次第と距離をおいてってた。
流星さんはただ黙って聞いていてくれた。
私は何を言いたいんやろ。
色んな感情が混ざりあって、涙がこぼれそうやった。
流星さんの声は優しくて、私の心をほどいていく。
ずっと怖かった、ここから踏み出すのが
あき兄との今の関係が壊れてしまうことが
流星さんが入口の方を見る。
振り返ると、そこにはあき兄がたっていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。