第16話

STORY 16
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2021/05/21 18:00
…大事なもの。




頭に浮かぶのは1人やった。



あん時、濵田さんに『彼氏がおるか』って聞かれた時も。




頭に浮かんだのはただ1人で



それは大穀やなくて







満面の笑顔を浮かべるあき兄やった。





大穀のことを忘れたことは1日もなくて




今でも、ずっと好きや…って思っとる。





それでも、心の中にはあき兄がいて






真夏に咲くひまわりみたいな、あき兄が…









だから、あの時は自分にびっくりしたんや。





いつの間にか大きくなっていった存在に…



あなた

流星さん、話聞いてもらえます?

流星
ええよ。俺でよければ


ずっと黙ってた気持ち、ここでなら話せそな気がしてた。



あなた

あき兄は私の初恋の人なんです。




小さい頃、いつもあき兄にくっついてて、





『将来はあき兄のお嫁さんになる』





って、ずっとそう思ってた。



あなた

でも、年が5つも違うから、ずっと小さい子扱いで

あなた

あき兄が高校入った時も、まだ私は小学生やから、全然相手にされてへんで



高校生のあき兄の周りにはいつもキレイな子がおった。




私はいつまでも、妹扱いで…




それが嫌で、悲しくて。





あき兄を諦めるために、次第と距離をおいてってた。



あなた

あの日、偶然あき兄に再会して

あなた

私は嬉しかったのに、あき兄は大穀との仲とりもとうとして

あなた

最初は淋しかった。



流星さんはただ黙って聞いていてくれた。


あなた

でも、大穀はすごくいい人で、いつの間にか好きになってて

あなた

一生一緒にいるって約束したのに、おらんくなって



私は何を言いたいんやろ。




色んな感情が混ざりあって、涙がこぼれそうやった。


あなた

もう消えてしまいたいって思っとったけど、あき兄がそばにいてくれたから

あなた

だから、また笑えるようになったんや

あなた

でも、怖いねん。

あなた

この気持ち、認めんのが怖いねん。

流星
でも、本当はわかっとるやろ
流星
目に見えない大切なもん、わかっとるんやろ。



流星さんの声は優しくて、私の心をほどいていく。



あなた

うん、わかっとる




ずっと怖かった、ここから踏み出すのが




あき兄との今の関係が壊れてしまうことが



流星
壊れたり、せんよ。
流星
大事なもんは、すぐ近くにあるんやから。
流星
わかったんなら、本当に伝えたい人に言うといで


流星さんが入口の方を見る。






振り返ると、そこにはあき兄がたっていた。


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