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第11話

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2025/11/18 08:00 更新
上を見上げると綺麗な海色が。
下を見下ろすと暗い暗い暗闇が広がっている。

…さて、どっちに行こうか…。

ただひたすらに落ちていくのが怖くて、
無意味かもしれない足掻きをしてみせた。

するとどうだろう。

急に落ちていた身体が、ゆっくり落ちるようになった。
身体に器用に動かすと上に向かえた。
まるで、水の中を泳いでいるような感覚…。

…水の中?

ここは水の中なの?
でも、息は出来てるから違うはず…。
Nakamu
…ここ、何処だろ…。
ただ何となく出てきた本音。
すると水の中で息を吐き出した時のように泡が出る。

…本当に何処だろう。水だけど水じゃない。変なの。
取り敢えず上へ向かおう。
この調子で泳げば上まで行くのは難しくないはず。

そう思いながら上へと泳ぎだす。
上下の感覚が分からなくなりそうだった。
水面から顔を出す。
酸素があったから呼吸は浅くなってない。
つくづく不思議な場所だと思った。

ここは何処かと辺りを見回してみると、
見覚えのある墓石のような建物がみえた。
Nakamu
『HOTEL PETRICHOR』…。
青い屋根が特徴の美しいホテル。
間違えなく、ホテペトに出てくるホテル…。

だとすると、ここは『空が泣く街』だろうか…。

暗雲が立ち込めていて、街の灯は揺れていた。
紫陽花が咲く道が広がり、咲き頃を迎えていた。

ただ、マイクラの世界にあったはずの
建物、路面電車等は無くホテルだけが佇んでいた。

あまりにも静かで、まるで…何だろ、
ホテルだけが閉ざされているようで奇妙な感じ。
Nakamu
…行くだけ行ってみるか。
人の気配は無いのに、灯りはついている。
やっぱり、どこかおかしい。

行くだけ行ってみよう。
この奇妙さの秘密を明かせるような気がする。
Nakamu
ごめんくださ〜い…。
ホテルの扉を開けると『GRAND FLOOR』へ辿り着く。
ベルマンである〝Nakamu〟が居た場所。

カトラリーの音が静かに響き、クラシックが
奏でられていて人気を感じる音だった。

聞こえるのは蓄音機から聞こえる音。
どこか機械的で一定のリズムを刻んでいる。
Nakamu
…。
フロント近くにはパンフレットがあったはず。
地図は一応頭の中には入ってるけど持ってて良いし。

そんなこんなでパンフレットを取る。

せっかくここに来たのだから捜索でもしようかな。
現実でこの世界を見ることなんて出来ないはずだし。
Nakamu
誰居ないなんて事、あるか?
少なからず誰かはこの世界に関与している気がする。
ホコリ一つも落ちてないし、電気だって通っているし。

迷わすエレベーターまで行き、ボタンを押す。

少し待つとチーン、とエレベーターの扉は開いた。
一応エレベーターは動いてるっぽいな。
Nakamu
要らないものは〝428〟…。
…何故だろう。
何処に行けば良いのか何となくわかる。
ひとまず428号室…焼却炉へと向かうか。
428号室に向かうため、四階で降りると
思いがけない人物がそこに居た。
シャーク・ん
…Nakamu…、さん?
Nakamu
しゃ、シャーク・ん…さん!?
最後不穏な感じで別れたシャーク・んさんだ。
何でここに居るだろう。ちょっと変なの。
シャーク・ん
どうしてここに…。
うん、それ俺のセリフだから()
Nakamu
…まぁ、何となく…というか…?
シャーク・ん
…そうですか…。
そういえば何処に行こうとしてました?
Nakamu
な、何となく客室を見てみようかな〜
って思いまして…まぁ…。
シャーク・ん
Nakamu…さんなら知ってると思いますけど
428号室は客室では無いですよ。
Nakamu
…!
まるで行く場所がわかっていたような反応だ。
もしかしたら428号室に何かあったりなかったりする…?
焼却炉以外の、何かがあるかも…。
Nakamu
あ、ありがとうございます…。
少し談笑した後、428号室へと直接向かう。
…迷いなんてものは、元から無かった。
428とプレートに示された部屋を見つけた。
そして鍵の交換をして428号室へと入る。
Nakamu
…。
あったのは他の部屋とも変わらない物たち。
ここまではよく知っている。
大切なのは閉め切られたドアの先にある焼却炉だ。
Nakamu
お、あったあった…。
もくもくと煙が漂う焼却炉があった。
更に本来無いはずの空間にドアがあるのを見つけた。

なんか、おかしい気がする。
Nakamu
…失礼しま〜す…?
開けた先にあったのは開かれた空間だった。
水が一定のスピードで流れ落ち、滝を成して
水が下へ下へと溜まっている。

まるでこの世界だけが切り離されたよう。

「シャークん、無理しない方が…。」

「もう、戻れないんだよ。あの頃の俺達に。」

懐かしい、あの声が聞こえる。
Nakamu
…!
すると耳を突き刺すような言葉の数々が心を抉る。

誰かが謝るように言った、助けられなくてごめん、と
いう言葉が理解出来てまた苦しくなった。

それは誰もが忘れたいと願わずにはいられないものだ。

知りたい。あいつ等のこと。
俺が居なくなった後にきっと何かが起きた。
何も知らなかったで済ませたくない。
Nakamu
…。
これから聞く言葉が少し怖いけど
進まないからには何も得られないから。

そう思い一歩踏み出したものの、
視界がグラッと暗転し叶わなかった。
Broooock
Nakamu!Nakamuってば!
Nakamu
…ん、ぶる?
どうやら寝ていたみたいで
めちゃくちゃ体を揺すられていた。
きんとき
やっと起きた…。
Nakamu
もしかして心配かけた?
スマイル
…まぁそれなりには。
うわぁ…それはちょっと申し訳ない…。
Nakamu
ねぇ、ぶる。
Broooock
?どうしたのNakamu?
聞いて良いかなんてわかんないけど、
でも聞くだけ聞いてみようと思ったから、聞く。
Nakamu
前世の俺が死んだ後って
皆どうだったの?元気だった?
もしかしたら皆100歳くらいまで生きて
転生してるかもと思い考えないようにしていた。

だがその願いは叶っていなさそうだ。
Broooock
僕ね、Nakamuが死んでから
二ヶ月経ってから死んじゃったの。
Nakamu
…ぇ。
想像よりも余りにも早すぎた。
二ヶ月なんて、あっという間に過ぎちゃうのに。
スマイル
…余りにも、早すぎたんだよ。
スマイルの言葉一つ一つが重い。
きんとき
…。
話の一つ一つが俺でさえイマイチ飲み込めていないのに
記憶が無いにも関わらず話に耳を傾けるきんとき。
Broooock
最期を迎える前の一ヶ月は
生きた感覚が全くしなかったの。
Nakamu
…生きた感覚?
Broooockがぽつ、ぽつと語りだす。
Broooock
考える事が余りにも多かった。
Broooock
まずは活動についてでしょ?
その時はとても出来そうじゃ無かったし。
Broooock
休止するならするで
仕事を探さなきゃいけないし。
Nakamu
…。
多分、目の前に居る彼等は
いっぱい考えて悩んでくれたのだろう。
ごめん、という言葉は無意識に飲み込んだ。
もし俺の言う言葉に〝正解〟があるなら…
Nakamu
ありがとう。
きっと、これが正解だ。
Broooock
Nakamu…でもね、きっと君なら
〝ごめんね〟とか考えるんだと思う。
Broooock
だけど僕達を集めてくれた事には、
数え切れない程感謝してるの。
Nakamu
…そう?
なら、昔の俺が報われる。
スマイル
なら、もう一度集まろう。
Nakamuの手で、もう一度。
Nakamu
元々そのつもりだったけどね。
仲間と合流する、というのは
何となくよぎった使命だった気がする。
Nakamu
じゃ、シャークん探すか!
人手が増えたし、多分これが好都合だ。
スマイル
見つ、からない…。
Broooock
きょ、強敵過ぎる…!
その後クエスト諸々やって、
色々聞いてみたけどやっぱり大した情報が無い。
Nakamu
…何かおかしい気がする。
きんとき
ここまで見つからないとなると、
何だろ〝隠されている〟気がする。
Nakamu
〝隠されている〟…。
その言葉、何か核心に迫っている気がする。
多分今までのどの仮説よりも正解に近いような…。
スマイル
…隠すといっても、誰がするんだ?
Broooock
〝隠す〟意味ってあるのかな〜〜…。
Nakamu
そういえばさ、今までシャークんの
〝そっくりさん〟に会ってきたよね?
スマイル
それはそうだな。
Nakamu
もしかしたらそっくりさんじゃなくて、
それこそ〝分身〟とかじゃない?
懐かしい気配もあるのに目の前に居る人、別人だった…
そんなことありませんか???

もしかしたらそれ、〝分身〟かもしれない!?!?

それだったら持ってる気配は似てるはず!
まぁそもそも分身が可能なのかって話だけど。
きんとき
分身魔法って、可能だっけ?
流石きんとき、記憶無いかもだけどやっぱ俺のズッ友。
スマイル
上位魔法だけど普通に出来るぞ。
俺だって使おうと思えば使えるし。
Nakamu
え!?
Broooock
じゃあ、今のスマさんは…?
ま、まさか偽、者…!?!?
スマイル
ちゃんと本物のスマイルだって。
魔力の消費が一番激しいからよっぽどの
魔術師がいないと四六時中は無理だ。
Nakamu
一旦仮説を立てたんだけど聞いてくれる?
きんとき
…。
するときんときは黙って頷いてくれた。
他の二人も続くように頷く。
Nakamu
きっと今まで会ってきた〝分身〟は
何か〝本物〟のシャークんに繋がる情報を
〝隠して〟いたんじゃないかと思ってる。
何か大きな存在が背後に居る事は間違いないはず。
スマイルの言う高度な魔法を
維持できる力を持つ者が居るということだから。
Broooock
じゃあ本当は〝三人〟じゃない?
スマイル
もしかして、〝影武者〟じゃないか??
Nakamu
影武者…?
きんとき
…なる、ほど…?
うん。さっぱりわからん!!!
スマイル
昔、俺とNakamuは
森でシャークんを見たよね?
Nakamu
…まぁ、そうだね。
スマイル
やっぱり、本物だったんだよ。
スマイルは、きっと気付いていた。

俺がまだあのシャークんを忘れてない事。
ずっとずっと引っかかっていた。

あのシャークんが一番〝本物〟に近かった。
他のシャークんにはどこか〝造り者〟があった。

それは俺がかつて生み出したブラテの登場人物に
そっくりなシャークんだからだと思っていた。
Nakamu
そっか…。
Broooock
最初からシャークんは三人以上居たの…?
Broooock、鋭い。
スマイル
Broooockが会ったシャークん以外にも
もう一人見たことがある奴が居たんだよ。
Nakamu
一番、雰囲気はシャークんに近かった。
でも、目線はどのシャークんよりも…。
前世で見たあの優しい瞳とは違った。
俺が羨ましくて憧れた、翡翠色の瞳じゃない。

あれは、敵を見定めるような感じだった。
きんとき
要するにその〝シャークん〟は何人か居て
〝本物〟がわからないんだよね?
こんがらがった話をきんときがまとめてくれる。
スマイル
影武者を生み出すにしても、
本体…要するに〝本物〟が必要なる。
Nakamu
…本物…。
Broooock
僕達が探してるのは〝本物〟で
他に会ったシャークん達とはまた違うの?
段々難しくなっていく話に、きんときが声を上げた。
きんとき
そうだ、俺シャーソんに初めて会った時
「何処かで会ったことありますっけ?」
って聞かれた気がするんだよね…。
Nakamu
…えっ!?
あの花龍列車のシャークんがそんなことを…?
きんとき
その時、俺は記憶が全くと言えるほど
無かったから首を振ったけどね。
きんときはどうやら有名な格闘家らしいので
シャーソんさんはそれで知った可能性はあり得る。
Broooock
〝会ったことがある〟ってどういうこと?
Nakamu
そこが引っかかってる。
でも、一つ仮説を立てるなら…〝転生〟。
きんときの記憶では会ったことない。
でもツャーワんさんの記憶では〝会ったことがある〟。

あり得る可能性は、〝前世〟で会ったということ。
これは単なる偶然とは思えない。
Nakamu
よく考えたらおかしいんだよ。
俺がスマイルと会った時だって…
「あの、あなたから…(以下省略)」という
明らかに怪しい一言が最初に聞いた言葉だった。

でも俺はスマイルを怪しまなかった。
それは〝前世〟があってそこでスマイルと会ってて、
親友としてたくさんの思い出があったから。
Broooock
確かに、前世の記憶があったから
こうやって楽しく会話出来てるもんね。
記憶があれば〝再会した親友〟に。
記憶がなければ〝知らない赤の他人〟に。
きんとき
名前は知ってる。誕生日も知ってる。
顔も知ってるけどなんか知らない人達が
ずーーーっと頭の中によぎってた。
きんとき
まだ記憶は思い出せてないけど、見てると
俺達はこうやって仲良くしてたのかな、って思ったし何よりも懐かしい感じがした。
スマイル
その〝記憶がない〟というのが
まぁいまいち引っかかるんだよな…。
Nakamu
なんでだろ~…?
Broooock
やっぱ理由とかあるのかな?
皆で悶々と悩んでいるとこんこん、とノック音がした。

お話中にすみません、という声が聞こえたので
そこに居る誰もがシャーソんさんだと理解した。
シャーソん
きんときさん、出かけてくるんですけど
何か欲しいものとかありますか?
きんとき
うーん…特に無いかな?
いってらっしゃい、と一言付け足して
きんときはどこか曇りのある笑顔で見送った。
Nakamu
きんとき、何か心配事でもあるの?
きんとき
え…?
きんときは少し黙りこむと
「少し話しても良い?」と呟いた。

深く頷くときんときはホッとしたように息をついた。
きんとき
何かね、こう誰かを見送ると
「帰ってこなくなったらどうしよう」って
いつも思っちゃうんだよね。
きんとき
誰も帰ってこなかった事なんて無いのに。
きんときは一応前世の日本の記憶がある。
けれど、どうやら〝ワイテ関連〟の記憶が全くない…。

なんというんだろ、すごく引っかかる。
きんとき
帰ってこないかもと思うと
体が震えて、動けなくなる…。
スマイル
動けなくなる…?
これは単なる不安ではなく
これでもかという程強い〝トラウマ〟見える。
Nakamu
…トラウマ…?
Broooock
Nakamu、どうしたの?
「人はトラウマによって記憶を失うことがある」

ふとよぎった知識王(?)スマイルの一言。
不意に思いついたその言葉がつっかかる。

きっときんときの記憶が無いのは理由があり、
〝その理由を取り除こう〟としていた。

結局は何も分からず遊び倒したけど…。
Nakamu
それ、きんときの…
〝トラウマ〟なんじゃない?
俺の一言にBroooockもスマイルもハッとした。
Broooock
きんさんのトラウマは
〝誰かが帰ってこない〟事…?
Broooockの一言に、きんときは目を見開いた。
きんとき
ッ…!
スマイル
きんとき。
スマイル
Nakamuも、Broooockも
時間は掛かったけど帰ってきたよ。
Nakamu
…!
スマイルが寂しそうに微笑んだ。
あまりにも永い時を過ごしたような言い方をする。
Nakamu
…きんとき。
俺、這いずってでも帰ってくるから。
気付けばそんな事を口にしていた。
これを〝言うべき〟だと感じたから。
きんとき
…そっか…。
前世で見たような、懐かしい笑顔だった。

すると意識を失ったのか彼は瞳を閉じた。
どこかすっきりしたような、あどけない顔をしていた。
Broooock
…きんさん、寝ちゃったね。
スマイル
…まぁな。
きんとき
Nakamu、Nakamu。
きんときが寝ていたはずだが
逆に俺が起こされている。何でだ。
Nakamu
…きんときおはよ〜…。
きんとき
うん、おはよう。
目の前に居る彼はまるで〝記憶がある〟ように見えた。
だから一つ、質問をする。
Nakamu
…きんとき。〝ワイテルズ〟どうだった?
きんとき
…とっても楽しかったよ。
ニコッと笑ってくれる彼に俺もまた安心した。

…そして一つ疑問が浮かんだ。
「どうしてきんときは気絶したのか」と。
きんとき
何か急に記憶が蘇ってさ、こう…何十年分
の記憶が流れ込んできたから…ね。
俺の心を読んだかのようにきんときは答えた。

そりゃ数十年分の記憶が一気に流れ込めば
脳みそがキャパオーバーになって気絶してしまうのも
納得出来る、というか納得しかない。
スマイル
Nakamuおはよう…ってきんとき。
Nakamu
きんとき、俺達の事を思い出したの?
スマイルにきんときの事を伝えるため、質問をする。
きんとき
…まぁ、まだ記憶の処理には
時間かかると思うけど、一応ね。
あ、スマイルの目がキラキラしている…!
スマイル
ちょっとBroooock起こしてくる!
先程までのテンションは何処へやら。
行動がとてつもなく早い。Broooockどんまい。
Nakamu
そういえば朝ごはん食べないと…!?
何日間食べ損ねたのか…。
しかも集中力を使ったからかマジでヤバい。

父さんの修行で、ある程度ご飯食べなくても
大丈夫なようにしていたんだけどなぁ…。
きんとき
シャーソんが何か作ってたよ。
その後の事は…あんま覚えてない!

でも皆でズッ友の彼とたくさん話して、
いっぱい遊んだような…うん、そんな感じがする。
Broooock
…結構集まってるよね!?!?
Broooockがニコニコして言った。
Nakamu
あと、〝二人〟だな。
段々とあの二人と会いたくなってくる。
〝六人〟で机を囲めたら良いのに。

そんな夢を抱きつつ、四人で談笑し続けた。
皆様お久しぶりです菫でございます…。
えーーまぁ…はいあのお察しくださいな()

マジで忙しいしスランプだわで大変でした。
今回の話が一番難しかったです(ガチ)。

こう…ワイテ皆の過去の設定は練れたんですけど
それを明かすまでのストーリーが
全くというほど思いついてなくてですねぇ…。

まだまだ時間はかかるかもですが
更新はもう少し早くなると思うので乞うご期待です。

お気に入りとかして待っててくださった方、
本当にありがとうございます…!🙌

低浮ながら時たま浮上して通知に喜んでいました。
どんどん精進していきます。

それではまた…!

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