_____B side_____
ピンポーン、
ガチャ、
19時半。
俺は彼女のあなたの家のインターホンを鳴らす。
扉が開くと、少し疲れた顔のあなたがいた。
開口1番、あなたは俺にこう言った。
あなた「あ、ごめん!
今日地味に忙しくてさ…来てくれたばっかで悪いんだけど、お風呂に先入ってもいい?」
B「ん?あぁ、もちろん!
その間に俺晩御飯作っとくよ!」
あなた「うん!ありがとう〜!
中入って入って〜」
B「うん、お邪魔します」
あなた「じゃあもうお風呂溜まったから行ってくるね!ちょっと待ってて!」
あなたは俺が部屋に入るとすぐお風呂場に行った。
珍しいな、と思った。
いつもは俺が来たら少し他愛もない話をして、俺がご飯を作って、その後にお風呂に行くのに。
でも確かに本当に疲れた顔してたし、まぁそんな日もあるか…
ピロン、
B「……」
そう1人で思いながら、買ってきた食材を置く。
するとそのタイミングで、リビングの机に置きっぱなしのあなたの携帯の通知音が鳴った。
俺は特に深い意味もなく、何気なしにチラリと携帯を覗き込んだ。
拓人《昨日は遅い時間までありがとう》
B「…誰こいつ」
拓人…?
誰だ、それ。
てか昨日楽しかったってなんだ?
昨日はあなたはAとご飯に行くって…
…あいつ、俺に嘘ついて男と会ってたのか?
なんだよ、俺への当てつけか?
俺が浮気したからってことか?
いや、待て。
そもそもいつからあなたはこの拓人ってやつと親しい関係なんだ?
…俺の浮気が発覚する前からって可能性もあるってことか?
だとしたら…
だとしたら!あなたも俺と同じじゃねぇか!
許せない。
俺はこんなに毎日連絡もこまめにして、写真まで送って、ご飯も毎回自腹で買ってきてあなたに尽くしてやってんのに。
…!!
もしかして今日も19時まで仕事ってのは嘘か…!?
だから速攻お風呂入ってんのか!?
まさか、さっきまでも誰かと…!?
だとしたら浮気相手はこいつだけじゃないのか!?
当てつけだか、前からずっと浮気してたのか知らないが、あなたが浮気してることはこれはもう確定だろう。
頭にカーッと血が上るのがわかった。
いや、今問い詰めてもダメだ。
これで浮気じゃなかった場合俺の立場が悪い。
…本当に浮気かどうか、確かめないと。
あなたの携帯のパスコードは知っていた。
見ようと思ったことはなかったが、あなたのパスコードは4桁だし、一緒にいると自然とパスコードを入力しているところをたまたま見ることがあった。
しかも、なんとも安易で、あなたの誕生日だから覚えていた。
4桁のパスコードを打つ。
LINEを探してアプリを開く。
一通りトーク履歴を見る。
…怪しいやり取りはこの拓人というやつ以外見当たらない。
拓人、と書いてあるトークを開く。
すると、こいつとのLINEはまさかのこのやりとりしかなかった。
むしろ、"友達に追加しますか?"という文字が出ている。
まだLINEの友達じゃなかった…?
こいつの文からLINEが始まったってことか?
…ということは、昨日出会いがあったってことか?
しかも遅くまで…って。
いや待て。あなたは何時までこいつと過ごしたんだ?
まさか昨日あなたは朝帰りでもしたのか?
バタン、
浴室の扉の音がする。
あなたが浴室から脱衣所に出た。
いつもの流れだと、保湿やらドライヤーやらをして大体リビングに来るまで15分ってところだ。
俺は慌ててあなたの携帯を操作する。
LINEの画面を俺の携帯で写真を撮る。
相手のプロフィールの画面も。
アイコンがこいつの自分の画像だったら情報が1つ分かるから良かったが、違った。
なんだこのアイコン、…牡蠣か?
最後にブロック、のボタンを押し、トークを削除した。
そして携帯を閉じる。
その後キッチンにすぐ向かい、食材を広げた。
あなた「ふぅ…お待たせ〜」
B「あ、ごめん。仕事のメールしてて今からご飯準備する」
あなた「分かった!全然いいよ!てか私も手伝うね」
B「…俺、ご飯食べたら今日はすぐ帰るわ」
あなた「え?そうなの?」
B「うん。仕事残っててさ」
あなた「あ〜……そっか、うん、分かった」
何だ?今の間は。
この後も男漁りか、昨日のやつと会えるなとか思ったのか?
イライラが募る。
許せない。
証拠を掴んで絶対に俺が優位に立ってやる。
ていうかあなたには俺しかいないだろ、もう。
浮気の証拠を出せば俺に縋り付いてくるに決まってる。
俺に捨てられたくないって泣き喚けばいい。











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。