第51話

47:「答え合わせ」
146
2026/04/25 15:43 更新
※雰囲気で理解することを推奨します......
(作者の語彙力不足)
キィニチ
よし、これで捕縛完了だな。
セノ
キィニチさんにあなた、協力感謝する。これでスメールに戻れそうだ。


その後。まだ状況を整理しきれていない私に反して、どんどん事件は解決していった。



セノ先輩たちと合流して、すぐに密輸犯は捕縛された。セノ先輩とマハマトラの人に連れて行かれていた。



そして去り際、セノ先輩が話しかけてきた。


セノ
その様子だと、何か変化があったみたいだな。
セノ
教令院の方には俺が報告を入れておこう。しばらくナタに留まるつもりなんだろう?
あなた
はい。
あなた
失ってた記憶を、思い出せたんです!
あなた
あと最低2週間はいようかと思ってます。まあ論文を提出しに、どのみちスメールに行かないといけないんですけどね。
セノ
その論文は、ナタ史の研究において非常に貴重な資料になるはずだ。
セノ
なにせ、炎神様に取材した記録なんて中々残っていないからな。
あなた
そうですね。
あなた
正直もう教令院のどの学者よりもナタ史については私の方が詳しい気がしますし、これからも研究するつもりなので、“そうなる“と思います。


私が少し得意げに言うと、セノ先輩はふ、と小さく笑った。


セノ
ひとまず、俺は先にスメールに戻る。もう記憶喪失にならないようにな。
あなた
あはは。多分もう、忘れたくても忘れられないような気がします。


セノ先輩は、なんだか察したように少しだけ微笑んでから、砂漠へ歩いていった。


その日の夜のことだった。




私は不思議な夢を見ていた。




というか、これは夢じゃないような気がする。




だって、夢にしてはあまりにも鮮明すぎるから。




私が目の前にしているのは、至極不思議な空間。




縦長の黒い石が何本か、まばらに宙に浮いていて、視界には白と黒と灰色くらいしかない。



モノクロと例えようとしたけど、なんだか適切ではない表現のような気がした。




地面は……これ地面なのかな。




明らかに土ではない。かといって石でもないし、地面がないわけではない。不思議な空間。




私の見る夢にしては、やけに解像度が高かった。


???
【それもそうだよ。夢じゃないもん。】
あなた
え、夢じゃないの?


夢じゃないなら、一体なんなんだろう__________


あなた
え?


???
【こんばんは。あなたの前世の名前。】


突如背後から聞こえてきた声に振り返ると、そこには、“私がこの世界で初めて見た人間幼少期の私“の姿がそこにあった。



けれど、体が透けていて、淡く光っている。



あなた
あなたは?


???
【もう薄々気づいてるんじゃないかな。わたしだよ。わ・た・し。あなただよ。】


それはつまり、今世の私、ということなのだろうか?



(前世の名前)の記憶を思い出す前の、純然なるテイワットの人間であるあなた。



多分、そうじゃないかな。


わたし
【大正解!やっぱりあなたの前世の名前は切れ者だよね。あなたわたしとは大違い。】


少女は私の方へ歩いてくる。そして、私を見上げた。


わたし
【今日はね、答え合わせための時間なんだ。】
あなた
答え合わせ......?

何が何だかわからない、という顔をしていると、少女は続ける。

わたし
【あなたの前世の名前はさ、前世の記憶をしっかり思い出せる?】


唐突な問いに、驚く。でも、正直に言ってしまえば。

あなた
今でも、はっきり思い出せないよ。



そう。記憶喪失からの復帰で思い出せたのはあくまで、「今世の記憶」。



今世の記憶を構成するのに関わってくる、前世の“知識“は思い出せるんだけど、いまいち記憶に関しては思い出せないのが現状だった。



思い出せることといえば、日本人だったこと・ゲームやアニメが好きだったことくらいだろうか。

わたし
【じゃあまあとりあえず、結論から言うね。】








わたし
【それは、あなたの前世の名前が“テイワットの外から来た魂“だからだよ。】



あなた
一体どういう......?



わたし
【テイワットにはね、他の星や世界との間に、不思議な境界があるの。あなたの前世の名前の魂はそこの外からやって来たんだ。】
わたし
【普通は入って来れないんだけどね。】



わたし
【でもあなたの前世の名前はなんと!天文学的な確率を見事に引き当てて、“地球“という遠い星から、魂だけでこの“テイワット“まで辿り着いて、そして、ここにいるんだ!】

わたし
【改めて思うけど、すごいね〜!この話はわたしも大霊様から聞いたんだけど、びっくりして叫んじゃったもん。】
あなた
え、じゃあ待って?魂が外から来たってことは私は“降臨者“みたいな扱いになるってこと?


前どこかの書物で、“降臨者“について書かれてあった。でも、ほんのちょっと。



“書いちゃいけないようなものをこっそり書いてます“みたいな感じの書き方だったけど。



テイワットの外から来た者のことを指すらしい。



そんな人はなかなかいないので、ちょっと会えないかなとかは記憶喪失の時に思ったりした。


わたし
【鋭いね。でも、あなたの前世の名前は厳密には降臨者じゃないよ。本質は似てるけどね。肉体を持たず、魂だけの状態で来てるから。】
わたし
【だって“わたし“っていう依代がなかったら、あなたの前世の名前はこの世界の所属だって一ミリも認められずに、地脈にすら帰れないままテイワットを彷徨うことになってたはずだもん。】


ん?なんか今ものすごく怖いこと言わなかった?


わたし
【それで本題に戻るけど。あなたの前世の名前の立ち位置は、テイワットでは完全に“異物“だった。不法侵入の魂だったからね。】
わたし
【この世界では強い力になる、あなたの記憶。それも“テイワットに入るため“にほとんど代償にしてしまってた。】
わたし
【でも、あなたの前世の名前が入ってきた場所___ナタには、ちょうど、頭をぶつけて死んだ少女がいたの。】


わたし
【あなたの前世の名前と、ちょっと似ている魂を持った、(わたし)。】
わたし
【わたしが死んだことによって、あなたの前世の名前は依代を手に入れた。】
あなた
じゃあ、あなたは____
わたし
【私のせいで死んだ、なんて言わないでね。わたしはあそこで死ぬ運命だったんだよ。】


でも、と言いかけたところで、唇に人差し指を当てられた。


わたし
【自分の描く人生の続きを、あなたが見せてくれた。わたしは満足してる。だからお礼に“知識の保護“をしたんだよ。】
わたし
【始めに言ったとおり、あなたの前世の名前はテイワットでは異物とみなされる魂。だから、肉体もそれ応じて世界からの拒絶を受けるの。】



わたし
テイワットの均衡すべての運命が、あなたを追い出そうとしてくる。】
わたし
【それは、あなたの前世の名前がテイワットここで手に入れた記憶でも、同じことが言えるんだ。】
わたし
【記憶を失ってからの方が、平穏だったでしょ?】


その言葉を聞いて、納得した。



私は、この世界では異物と認識される存在。



魂はともかく、私が持つ知識と記憶は絶対に、テイワットに存在してはいけない物なんだ。


あなた
記憶がないから、拒絶の強度が減ってたってこと?
わたし
そう。
わたし
【それで、またナタにきて。思い出そうとした。】
わたし
【だから、何回も死にかけてるんだよ。】

















あなた
___じゃあなんで、私は死んでないの?


すごく、場違いなことを聞いている気がする。



ネガティブに、なりすぎている気がする。



でも、どうしても。世界という大きな存在に拒絶されているのに、なんで私が死んでいないのかの方が気になった。



わたし
【それはわたしと、彼。】
わたし
【________キィニチさんのおかげだよ。】
あなた
キィニチが......?
わたし
【ナタにいる間は大霊様の加護のおかげで、拒絶はまだ弱かった。】
わたし
【けど、あなたの前世の名前がナタを出てからは、強力な拒絶を回避する手段がなかった。】
わたし
【だから“死なないように“するために、わたしが一時的に“前世の知識“と“あなたの前世の名前の今世の記憶“を、わたしの記憶とすり替えたの。】
わたし
【“今世の記憶“を元にした“願い“が根源だったから、記憶喪失の間の神の目は不調だったんだろうね。だって、その記憶をわたしが持ってたっていう訳なんだから。】





わたし
【そして、キィニチさん。】
わたし
【MVPだよ、彼。】
あなた
そうなの......?



わたし
【彼とその隣にいる“聖龍“は、ナタの未来__ひいてはこの世界テイワットにとって絶対に欠かすことのできない運命を持つ人間。】
わたし
【彼が、自分の運命にあなたの前世の名前を巻き込んでくれたの。】
わたし
【この世界の未来と、“異物“の排除。その両方を天秤にとった世界は、“この世界の未来“を選択した。】
あなた
そ、れって。




















わたし
【うん。彼、どうしようもないくらいあなたが好きなんだよ。】
あなた
___________。
わたし
【あなたは、もう取り外せないくさび。釘なんだ。】
わたし
【キィニチさんの記憶からあなたの前世の名前の存在を消してしまえば、人格形成にも関わるくらいの、大きな大きな溝ができてしまう。】
わたし
【だから、この世界はあなたの前世の名前という存在を、世界樹から抹消するのではなく、“死亡“という形をとって消したがったの。】
わたし
【世界樹に記録されない知識を持ち、改変の影響も受けず、未来すら歪め得る存在_____それがあなたの前世の名前だから。】


確かに、この世界は世界樹に保存された知識と記憶でできている。




その世界樹から“私“という存在と記憶を消し去ってしまえば、テイワットにはあなたの前世の名前は存在しなかったことになる。



でも、キィニチがテイワットの未来を左右するような人物で、なおかつ彼は私を自分の運命に深く強く巻き込んでいた。



だから私は“世界樹に残る形での死亡“を世界から望まれたわけだ。







要約すると、私はこのテイワットにとって、“消されるはずだった存在”だった。でも、キィニチのおかげで“消したいけど消せない存在”になったということだ。




わたし
【まだ説明しきれてないところもあるんだけど、そろそろ時間みたい。】
あなた
え?
わたし
【じゃあ、一番大事なこと言うね。】
わたし
【わたし___あなたは、あなたの前世の名前の魂と混ざります!】








あなた
ん??????????


混ざる?ん?え?




どう言うこと?



わたし
【わたしはテイワットの魂。】
わたし
【だから、(なまえ:前世の記憶)の魂と混ざることで、あなたは世界からもう過度な拒絶を受けなくなる。そして、地脈にだって帰れる!】
わたし
【わたしって言う自我はもう、これっきりでなくなっちゃうんだけど。わたしはもう、満足してる!】
わたし
【あなたの前世の名前の知識、たくさん覗き見させてもらった。テイワットにないこと・物だらけで驚いたし、嬉しかったし、楽しかった。】






わたし
【だからわたし、4歳までしか生きてないのに、こんなに流暢に喋れるんだよ。】


わたし
【ってことで、これはそのお礼なの。拒否権はないから、素直に受け取ってね!】


あなた
え、ちょっと待って......!






わたし
【待たない!だって世界テイワットは待ってくれないからね!】




わたし
【あ、でも。キィニチさんと付き合った時に「おめでとう」くらいは言いに行かせてね!】



じゃ!と言って、光は霧散していく。








しんみりとした空気。シリアスの空気。ギャグのような空気。その他諸々まざって。









目が覚めた時に微妙な気分になった。

プリ小説オーディオドラマ