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第37話

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2024/09/28 23:46 更新








あなた
はあ….疲れた….







代表への昇進と父親への反旗を翻してやろうと決めたあの日から早一週間。







珍しく三連休で部活がないということで密かな計画を立て始めてるわけだが何一ついい案が浮かばない。






仕事の引き継ぎを兼ねて社に赴いてるが穴という穴もなく、只々順調に仕事を覚えてるだけ。







やっぱりそう簡単にボロが出るなんてことはあり得ないよな。







皮肉なことに世界に通用する会社だから、私一人がひっくり返そうとしてもあと何年かかることか。







このままだとあの父親が死なない限り無理なんじゃないか?







タイムリミットは私が見え隠れするくらいだって言うのに。







ミンジュさんのためにも頑張らなきゃ….







ん….?ミンジュさん?








“ピリリ”










あなた
はいあなたの名字です。
チェウォン
チェウォン
“何?言われなくても分かってるけど。“
あなた
ああ….チェウォンか。どうしたの?
チェウォン
チェウォン
“ああって….まあいいや。なんかしてた?”
あなた
ううん。休んでた。
チェウォン
チェウォン
“そう。私も一休みつこうと思って。”
あなた
何してたの?
チェウォン
チェウォン
“勉強。”
あなた
さすが生徒会だね。
チェウォン
チェウォン
“….さすがって当たり前じゃない?”
チェウォン
チェウォン
“テスト来週だよ?“
あなた
え….?
チェウォン
チェウォン
“何….”
あなた
そう言えばそんな行事もあったっけ….笑
チェウォン
チェウォン
“はあ?本気で忘れてたの?”
チェウォン
チェウォン
“あるに決まってるでしょ?”
あなた
まあ….頑張るよ。
チェウォン
チェウォン
“赤点だったら私が補修見るからね。生徒会だから。”
あなた
それは頑張らなきゃな….
チェウォン
チェウォン
“ちょっと、どういう意味?”
あなた
いや別に深い意味はないよ。
あなた
あ、でも部活はサボれるのかな?
チェウォン
チェウォン
“ウンビオンニに言いつけとこ。”
あなた
ああ!待って待って、本気じゃないからさ….笑
チェウォン
チェウォン
“ったく….ほんと自由なんだから。”
あなた
あはは….










それから何度チェウォンに軽い脅しと、いつものように言ってくる「バカ」を送られたことか。







この子が私に電話してきた目的は何なんだ?私にバカということか?とか思っちゃったり。







まあ私としても良い休憩時間ができたからいいんだけれども。







私の人生の中でこんなに言われるなんてなかったよな….笑







一応お嬢様として育ってきたけど….流石チェウォンだ。









あなた
ね、チェウォン。愛って何なのかな。
チェウォン
チェウォン
“え….”
あなた
好きって気持ちが大きくなった結果、とか?
チェウォン
チェウォン
“….急に何?詩でも書いてるの。”
あなた
違うよ、ただ思っただけ。
チェウォン
チェウォン
“ふーん。好きな人でもできたのかと思った。”
あなた
まさか。恋愛とは無縁だから。
チェウォン
チェウォン
“….無縁って意味知ってる?”
あなた
….知ってるけど?
チェウォン
チェウォン
“バカ。”
あなた
あのねぇ….笑
あなた
バカバカ言ってるけど、私はバカじゃないしお嬢さんがそんなこと言っていいの?
チェウォン
チェウォン
“.….“
あなた
聞いてる?お嬢さん?
チェウォン
チェウォン
“お嬢さんって呼ばないで….“
チェウォン
チェウォン
“名前で呼んで。”
あなた
ん?…分かった。
チェウォン
チェウォン
“呼んで。私の名前。”
あなた
チェウォン?
チェウォン
チェウォン
“もう一回。”
あなた
チェウォン。
チェウォン
チェウォン
“ありがと….”
あなた
….何かあった?
チェウォン
チェウォン
“ううん….何でもない。親来るから切るね。”
あなた
分かった。
チェウォン
チェウォン
“じゃあね。”
あなた
はい….








お嬢さん….ね。







深いソファにグッと身を任せる。沈んでいくように飲み込まれて深いため息が一つ。







近くに置いてあったクッションを顔の上に被せて、息を止めてみる。







無音の部屋に、光の入ってこない視界と浮いているような感覚がどこか心地よい。







ちょっと苦しくなったあたりで入ってくる酸素はあまりにも新鮮だ。









あなた
撒いた種は自分でどうにかするよ….














吐き出すように吐いた言葉は何処に反射する訳でもなく静かに消えていく。







この家も寂しくなってきたな….


















「ただいま。」
















あなた
っ…..!








どこか聞き馴染みのある声。誰よりも深くて品があって。落ち着きをくれる声。







何故こんなにも聞きたくなるのか分からないほど欲していた。







やっと。帰ってきてくれた。










あなた
おじいちゃん….








長く感じる廊下の先に立っていた。優しい笑顔を見せながら。







でも….違う。







私の知っているおじいちゃんは、もうちょっと背が伸びていて、こんなにやつれていない。







本人ではある。それは確信的だけど。この変わり様は一体何なのだろう。










あなた
お帰り。随分と長い用事だったね。








「少しだけ。手こずってしまってね。」










そうやって笑うおじいちゃんは私が今まで見た中で一番苦しそうだった。







まるで全ての罪を背負っているような表情を見るのは、余りにも辛いから。







何があったか聞いても「あなたの下の名前が気にする必要はない」と優しさを最大限に込めて言ってくる。







その優しさは、私にとっては優しくないってことをおじいちゃんは知ってるのかな。







誰よりも大切に思ってくれてる人だから。私だって守りたい。







そんな在り来たりな正義でもダメ….?











あなた
私は….覚悟を決めた人間だよ。
あなた
おじいちゃんは私を信じてくれないの….?









こんな声でも届けば良いのに。







ああ。大人の社会は難しいんだ。私一人じゃ何の嫌がらせにもならないのかな。







優しい言葉なんて、ただの甘えなんて一掃されて終わっちゃうの?







私が望んでいないように、おじいちゃんも望んでないはずなのに。







何で。何でそんなに無理に隠そうとするの?







聞いてよ。私はね。私は….













「あなたの下の名前?どうした。」












あなた
….ううん。何でもない。














まだ….弱い人間だ….












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