「頭可笑しいんじゃないの?」
「狂ってる」
「キモい」
なんでそんなこと言うの?なんで?
そんな事笑って言ってたあなたも今は怖がってる。
眼をウルウルさせながら子犬みたいに私を見つめてる、
そうだよ私狂ってるよ頭おかしいよだから何?
なんで笑うの?私にはわからない。
" 普通 "の人の気持ちなんか。
これが私、これが普通の私。いつもの私。
でも他の人はこれを狂ってるという。
そいつらが狂ってるんじゃないの?
..
血まみれの制服に血まみれの包丁、
私は見ている子犬君。あぁ、可愛い。
全てを壊してあげたいよ、
全部全部消してあげて絶望させたい。
やめろしか言ってなかった子犬君の声なんかもう聞こえない。
眼の光を消してあげたい、..
ゆっくりと近づくと子犬は何か言ってる。
でも聞こえないからいーや。笑
にっこりと微笑むと泣き出した、なぜ泣く?
悲しいという感情は分からない。
怖いという感情も分からない。
無駄な感情表情なんかとっくに全て捨てた、
笑うのが好き、楽しいのが好き、
ゾクゾクするのが好き、
他人の滅亡を見るのが大好き。だから殺す。
殺すとゾクゾクする、他人の絶望も見れる、楽しい、
楽しいから笑う。私が好きなことばかりだ…!
子犬君にまた1歩近づく。
微笑みがだんだんくすくすと笑い声になり、
小さな笑い声もだんだん大きくなっていく。
楽しい。楽しすぎる!
包丁を振り上げ、相手の腹に刺した。
血がちょろちょろ小川みたいに流れて綺麗だった、
子犬君の目を見ると上を向いていて、
綺麗な茶色い目はだんだん薄暗くなって 、
命が消えていくのが見えた。
こんな楽しい、喜び溢れた感情なんて他にあるのか?
あ。
いいこと考えた。
人の絶望を見るのがこんなに楽しいなら、
自分でやればどんな喜びが訪れるのだろう?
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。