「形じゃない何か…形じゃない何かってなんなの…!」
凛々は焦りの頂点に達していた。
それでも、だんだんと落ち着きを取り戻しながら、
形じゃない何かについて考え込んでいた。
私は目を瞑った。
…何も出てこないと思っていた。
…が、しかし!1つだけ思い当たることがあった。
私は目を見開いた!
「高校生の時の思い出が残っていない理由が分かった!」
なぜか今の凛々には自信が満ち溢れていた。
青くて純粋な春だった日が、一瞬で赤黒く、淀んだ春へと変わっていったあの日のこと…。
私の思い出は形として残っていたのでは無い。
私の思い出は、視覚として残っていたのだった。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!