第9話

こぼした珈琲
115
2017/10/22 11:01
あなた

……え?

レオン
レオン
僕は連続殺人事件の犯人ではありません。
変な勘違いをさせてしまったみたいだ。と苦笑混じりに笑うレオンの手は、忙しなく小包をいじっている。
嘘だ。
私の勘が叫んだ。
こいつが犯人だ。違うとしても、何か知ってる。
私はレオンのフワフワした頭のてっぺんから綺麗に磨かれた靴の先までじっくりと観察するように見た。
二階からなので細かいことはわからないが、道行く人々が足を止めてしまう程の美しい笑顔はわかった。
レオン
レオン
まあ詳しいことはあちらで話しませんか?
病院の方を向き、こちらを再度見る。
言葉巧みに病院へ誘導するレオン。
ここで断れば真実を知るチャンスを逃すことになるかもしれない。
あなた

行きます。

今度は迷わず即座に答えた。
指先が震える。そういえば珈琲が床にこぼれたままだった。
珈琲が血に見えてより一層恐怖を引き立てている。
あなた

先程飲み物をこぼしてしまったので、片付けてから行きます。

そういうとにっこりと顔をほころばせ、ゆったりゆったりと
レオン
レオン
珈琲はシミになりますから、気をつけてくださいね。それでは、お先に病院へ行ってますね。
と告げ、のんびり、足どり軽めに病院へ向かっていった。
私は確かに。と納得して、少し焦り気味にキッチンからタオルをとってきて、珈琲をこぼした場所にタオルを被せた。
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あなた

……あれ?

なんでこぼしたのが珈琲だと?

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