変な勘違いをさせてしまったみたいだ。と苦笑混じりに笑うレオンの手は、忙しなく小包をいじっている。
嘘だ。
私の勘が叫んだ。
こいつが犯人だ。違うとしても、何か知ってる。
私はレオンのフワフワした頭のてっぺんから綺麗に磨かれた靴の先までじっくりと観察するように見た。
二階からなので細かいことはわからないが、道行く人々が足を止めてしまう程の美しい笑顔はわかった。
病院の方を向き、こちらを再度見る。
言葉巧みに病院へ誘導するレオン。
ここで断れば真実を知るチャンスを逃すことになるかもしれない。
今度は迷わず即座に答えた。
指先が震える。そういえば珈琲が床にこぼれたままだった。
珈琲が血に見えてより一層恐怖を引き立てている。
そういうとにっこりと顔をほころばせ、ゆったりゆったりと
と告げ、のんびり、足どり軽めに病院へ向かっていった。
私は確かに。と納得して、少し焦り気味にキッチンからタオルをとってきて、珈琲をこぼした場所にタオルを被せた。
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なんでこぼしたのが珈琲だと?
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。