ついに4日が経った。
今日で勝利とも お別れ....かぁ
私は勝利の部屋をノックする。
勝利から返事が来ない。
私は勝利のお部屋のドアを開けた。
勝利はお部屋の隅で体育座りをしてた。顔を埋めている。泣いてるのかも?
だいぶ元気が無くなった感じだった。そりゃそうだ。私が引っ越すって言わずにあと数時間で発つから。
勝利は涙でグチャグチャの顔だった。とても目が充血しててまだ涙が零れている。
私は勝利を抱きしめた。
この感じ。人を抱きしめたら何故か安心する感じ....勝利もそれが伝わったのか泣くのを止めた。
私は何もかも話した。
こんなに打ち明けたのは勝利が私を拾ってくれてから以来では無いだろうか。
途中で勝利はすすり泣きしたりショックを受けてたけど学校は同じと聞いてだいぶ安心しているようだ。
勝利は顔を赤らめて下を向いた。
何を言ったんだろう。
私は今の発言で耳から湯気が出てもおかしくないと思った。嬉しいしとてもありがたかった。
数時間後私は無事優しい親戚に引き取られ引っ越すことになった。
私が勝利の家に来た時と同じ暖かいよく晴れた春の事だった。
勝利に声を掛けれ私は大きなお庭のベンチに座った。
私は何となく目を閉じた。
刹那の事。 2人の唇が重なった事は覚えてる。
顔に血が集まる。何となく勝利を抱きしめたくなった。
勝利は私をギュッと抱きしめながら言った。
長く長く抱きしめた。
そう言われて渡されたのは私が気に入ってるブランドの服と靴、お菓子のリュックだった。
感嘆のあまり大きな声を出してしまいお庭に迷い込んでいた猫がじろりと睨んだ。
私は親戚と新居へ歩き出した。
大きなマンションと聞いている。
まぁ私は知らないだろうな。勝利の家から50メートル先が引越し先なんて。
私は休み時間に萌華と侑大くんに打ち明けた。
勝利と道中でバッタリ会うまでは言わないでおこう。
今日も私の新しい物語が始まる。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。