「昨日のテレビ見たー?」
「見た見た!めっちゃ面白かったよな!」
「やんな!ちょっと話そうぜ〜」
.
休み時間
いつものように男子が楽しそうに話している。
「あっ…」
その輪の中に君が見えた。
「なに話してるんだろ。」
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ザワザワザワ……
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「クラス離れちゃったしな。
もう話せないのかな…」
.
「家帰ったら連絡取ってみよ。」
え?
なんで、?
どうして?
見てないと思ってたのに…
心配してくれてたんだ…
迷惑かけちゃだめだよね。
私のことなんて
気にもしてないと思ってたのに…
そんなに心配してくれてたなんて…
ありがとう……
一年生の時も、
毎日こんなふうに話してたなー…
いつもこうやって馬鹿にしてきたっけ…
なによ、それ…
そんなこと今まで一回も言わなかったくせに。
ずるいよ
またこうやって二人で話したいよ…
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!