第5話

優しい?
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2017/11/01 21:50
「うわ、やっぱ日曜は混んでますね〜…」


ショッピングモールは人でごった返していた。


「どこから見ます?」


…と言われましても。


「んー、妹ちゃんって何歳?」


「14になります、中2ですっ。」


なるほど。


「興味のあるものって何?」


何も知らない私は何をおすすめすることも出来ない。


「んー…」


腕を組んで悩む秀也くん。


「例えば、オシャレとか。

出かける時にネックレスとか、イヤリングとか付けてない??」


ド定番の例を出す。


「あー、それはあるかもしれないです!」


よし、じゃーアクセサリーでいこう。


「んーと、それなら…」


一つ一つよく行く店を思い出してみる。


私も女子高生だからね、興味ありますよ、ちゃんと。


「2階にあるとこがいいかなーっ

付いて来て!」


エスカレーターをに乗って上へ行く。


「先輩、よく買いに来るんですか?」


「まぁね、よくってほど頻繁じゃないけど。」


アクセサリーを買いに来るより、買い食いしに来ることの方が多いかなー…。


「…。」


訪れる沈黙。


き、気まずい。


ごめん、私が会話を終了させた…。


なにか、喋んないと。


「あ、ここのお店だよ。」


ちょうど良いタイミングで目的のお店の前に着いた。


ネックレスやイヤリング、シュシュとかも置いてある、アクセサリー専門店。


「あ、もしかして入りにくい?」


秀也くんがお店を眺めているのを見て聞いてみる。


「あ、いや、思ってるより男性多いんで、逆に入りやすいですよっ。」


そう言って秀也くんは店の中に足を進めた。


あとに続き私も入ると、カップルや男性一人の客もいた。


あ、この店の名前、男性から女性へのギフトにもオススメってテレビで聞いたことあるかも。


「どんなのがいいんだろう…」


秀也くんは独り言を呟きながら棚に並べられたイヤリングを見ている。


「予算ってどれくらい?」


「3,000円…くらいですかね…。」


おぉ、割と高め。


優しいお兄ちゃんだなぁ…。


「じゃあ、イヤリング、ネックレス…あと、ブレスレット…とか、3種類くらいは買えるかな…

髪の毛は長い?」


「短めですかね…肩につくかつかないかぐらいだと思います。」


ボブか…。


「じゃあヘアピンとかもいいね〜」


「あ!

それ喜ぶと思います!

毎日付けてますけど、壊れたとか失くしたとか言ってて…」


「お、じゃあそーしよっか。

イヤリング、ネックレス、ヘアピン。」


あとは選ぶだけだし、早く終わりそーっ。


「ネックレスって言っても種類めっちゃありますね!?

どんなのがいいと思いますか?」


えっ…。


「そこはさ、やっぱお兄ちゃんが選んであげなきゃーっ!

まぁ、派手すぎないほうがいいと思うよ。

ジャラジャラしてるのじゃなくて、シンプルなやつ。

例えばー…あ、このリボンのやつとか?

ハートだと彼氏から貰いたいっていうのがあるかもだし…

って…ごめんっ、話しすぎた!」


秀也くん、固まっちゃってる…。


「あ、いや、違うんです!

すごい親身になってくれるなぁって…」


な、


「そんな、当たり前じゃんっ、お礼なんだし…

出来ることならするよっ

むしろこれくらいしか出来ないし…」


「ははっ…先輩って優しいんですねっ」


ニコッと笑って言う秀也くん。


や、優しい!?


私が!?

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