病院について、緊急治療室の前で
病院の人から説明を聞いた。
あんなに どうでもよかった父親が、
今はとても心配だ。
胸が潰れるほど悲しい。
怖い。
私はついに堪え切れなくなってしまった。
こんなにも人前でわんわん泣いたのは
いつ振りだろう。
今まで溜め込んでいたものが、
ついに溢れ出てしまった。
辛い。怖い。
数時間後
やっぱり、神様は私から何もかもが
奪ってしまうんだ。
ついにお父さんまで。
もう、嫌だ。一人は嫌だ。
それから先生に付き添われ、
私はその病室に入っていった。
その病室には冷たくなったお父さんが
横たわっていた。
その後、病院の人から説明を受け、
今日は家に帰った。
病院を出た後、ふらふらと街を歩いた。
大きな交差点。事故現場。
そんなに好きでもなかったはずなのに
お父さんが死んでしまったというのが
ものすごく悲しい。 とても悲しい。
放心状態のまま、私は横断歩道を渡った。
気付いた時にはもう遅かった。
前から乗用車が私に向かって
走ってきたいたことに。
考える暇も与えてはくれなかった。
キィィィィィィッ
急ブレーキの音と共に私は宙を舞った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!