あなたの好きな人の名前と過ごす時間が増えるたびに、夢は少しずつ鮮明になっていった。
──青い海の底。
──誰かと並んで泳ぐ感覚。
──「もう一度、君に会えてよかった」
その言葉を思い出した瞬間、あなたは激しい頭痛に襲われた。
心配そうに覗き込むあなたの好きな人の名前の瞳を見たとき、あなたの胸が小さく震えた。
──知ってる。
この目、この声、この微笑み。
ずっと前に、どこかで。
あなたは、まるで確かめるように彼の名前を呼んだ。
すると、彼の表情がほんの一瞬、揺らいだ気がした。
言えなかった。
でも、確信していた。
あなたの好きな人の名前は、何かを隠している。
そして、あなたはそれを知っていたはずなのに、忘れている。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。