「さっき…その…聞いたか?」
ん?
「告白…してたの。」
「うん。」
陽汰はその場にヘタっと座り込んだ。
「えっ!?なに、どうしたの?」
「見ちゃったか…。」
「でも誰もいなかったじゃない。」
「余計に恥ずいわ。」
「なんで?」
「ひとりで告白とか引いただろ?」
え…
「なんで??」
「え。」
「別に…いいんじゃない?練習とか…でしょ?」
「そ、そうか!良かった…」
「うん!」
「練習…してたんだ。」
「好きなひといるの?」
「っ…///」
いるんだ…恋愛にキョーミはないけど、なんか聞いてみ
たいかも。
「えー、だれー?」
「い、言うわけないだろ!!」
そりゃそうだよね。
「そっかぁ…。」
「華奈は…いんのか?」
…。
「…いないよ?」
「そっか。」
陽汰は笑って見せた。
「い、ないのか。」
え…?
「なんかゆった?」
「え!?いや、別に…?」
「そう。」
なにか聞こえた気がした。気のせいか。
ー…。
「じゃあな!」
気づけばもう別れ道だ。
「じゃあね!今日はありがと!!」
「おう!」
ここからはひとりで歩く。大体2分くらいで着くだろ
う。
「なーんか…寂しいなぁ…」
陽汰と帰るのは久しぶりだ。
最後はぎこちなくなっちゃったけど、たのしかった。
家に帰ってご飯を食べて、ここからいつもどおり。
今日は陽汰と帰った。
それだけが、いつもとちがうところだった。
また、明日も変わらない日々。
おやすみなさい。
電気を消して布団にもぐる。
明日もきっと…。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。