ザァァァ……
雨が地面を叩きつける音が現場を支配していた
濡れた前髪を鬱陶しそうにかきあげあなたがぼやく
そんな彼に、フウカがいつもの調子で返す
睨みつけた先には、あなた達より前に現場に到着していた三人の姿が
怒鳴り返すあなたに、ハルキが眉をひそめる
正樹と呼ばれたダークブルーの髪の少年は、ふんっと鼻を鳴らす
彼はゆっくりと刀──〝月霞〟を抜き、スッと構えながらあなた達を見やった
ムッと返すハルキに、正樹は首を振る
雨に濡れた前髪がハルキの表情を隠す
正樹はさらに言葉を続けた
その瞬間
黙って聞いていたあなたがついに爆発する
今にも噛みつきそうな勢いで正樹に詰め寄る
周囲の先輩たちは「任務前だぞ……」「また始まった……」と頭を抱えた
すると、ハルキがス…と顔を上げる
冷え切った瞳が、正樹とあなたを射抜いた
冷淡な声に正樹は言葉を失い、視線をそらす
一方であなたは目を輝かせ、勢いよく飛びついた
いつも通りなフウカに、ハルキは呆れ顔でため息をつく
だが、その頬はわずかに緩んでいた
面白くないという顔で3人を睨む正樹
そんな彼に声をかけてきたのは、シルバーの髪をオールバックにし、大鉈〝霊験〟を持った青年──将平
正樹のチームメイトであり、同期からは〝パパ〟と呼ばれる男だ
彼の後ろには、長いくすみグリーンの髪を一つに束ねた少年──千早が
弓〝桃源正宗〟を肩にかけ眉をひそめながら正樹を見ている
子供じみた反論をよそに、将平は大鉈についた雨粒を払いながら目を細める
場の空気が一瞬で張りつめた
パキッ……
バギバギバギ……ッ
ズズズ……
何もない空間に、ヒビが
それは裂け目となり、やがて巨大な穴へと広がった
そこから這い出てきたのは──
鬼の面を模した顔、無数の腕、その掌にはぎょろりとした目玉
「キミノ腕……ボグニ……チョウダイィィィ!!」
耳障りな声に、フウカはひょいと首をかしげた
ポチャンッ……
雨粒が地面を打ち跳ねる
今宵も──〝呪術師〟たちの影の戦いが始まる


















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!