第3話

2話
53
2025/09/04 21:45 更新
ザァァァ……

雨が地面を叩きつける音が現場を支配していた
(なまえ)
あなた
雨かよ…
濡れた前髪を鬱陶しそうにかきあげあなたがぼやく

そんな彼に、フウカがいつもの調子で返す
フウカ
フウカ
ついてませんね
(なまえ)
あなた
お前ら、雨男か?
睨みつけた先には、あなた達より前に現場に到着していた三人の姿が
正樹
正樹
やめてくれないか?
正樹
正樹
君たちと同類にされたくは──
(なまえ)
あなた
あ゙ぁ゙?
(なまえ)
あなた
こっちだって、テメェらと同類なんざゴメンだよっ
怒鳴り返すあなたに、ハルキが眉をひそめる
ハルキ
ハルキ
あなた、落ち着け
ハルキ
ハルキ
正樹も煽るのやめろよ…
正樹と呼ばれたダークブルーの髪の少年は、ふんっと鼻を鳴らす

彼はゆっくりと刀──〝月霞ツキガスミ〟を抜き、スッと構えながらあなた達を見やった
正樹
正樹
ハルキ、まだそいつらと組んでるのかい?
ハルキ
ハルキ
…別にいいだろ
ムッと返すハルキに、正樹は首を振る
正樹
正樹
いいかい?君には才能がある
正樹
正樹
だが、そいつらと組むことでその才能が潰れてしまっている
雨に濡れた前髪がハルキの表情を隠す

正樹はさらに言葉を続けた
正樹
正樹
早く彼らの元を離れるべきだと言っている
正樹
正樹
それが君のためだ
ハルキ
ハルキ
……
その瞬間

黙って聞いていたあなたがついに爆発する
(なまえ)
あなた
テメェ…
(なまえ)
あなた
黙って聞いてりゃ、適当なこと言いやがってっ!
今にも噛みつきそうな勢いで正樹に詰め寄る

周囲の先輩たちは「任務前だぞ……」「また始まった……」と頭を抱えた

すると、ハルキがス…と顔を上げる

冷え切った瞳が、正樹とあなたを射抜いた
ハルキ
ハルキ
うるさいなぁ…
ハルキ
ハルキ
オレがどうするかは、オレが決める
ハルキ
ハルキ
今が気に入ってるんだ、邪魔するな
冷淡な声に正樹は言葉を失い、視線をそらす

一方であなたは目を輝かせ、勢いよく飛びついた
(なまえ)
あなた
さすがオレのシンユー!!
ハルキ
ハルキ
わっ、や、やめろっ!
フウカ
フウカ
なになに? 夕ご飯の話?
いつも通りなフウカに、ハルキは呆れ顔でため息をつく

だが、その頬はわずかに緩んでいた
将平
将平
フラれたな
千早
千早
面白くないという顔で3人を睨む正樹

そんな彼に声をかけてきたのは、シルバーの髪をオールバックにし、大鉈〝霊験レイゲン〟を持った青年──将平

正樹のチームメイトであり、同期からは〝パパ〟と呼ばれる男だ

彼の後ろには、長いくすみグリーンの髪を一つに束ねた少年──千早が

弓〝桃源正宗トウゲンマサムネ〟を肩にかけ眉をひそめながら正樹を見ている
正樹
正樹
……フラれてない!
子供じみた反論をよそに、将平は大鉈についた雨粒を払いながら目を細める
将平
将平
なんでもいいが──そろそろ来るぞ
場の空気が一瞬で張りつめた


パキッ……

バギバギバギ……ッ

ズズズ……


何もない空間に、ヒビが

それは裂け目となり、やがて巨大な穴へと広がった

そこから這い出てきたのは──

鬼の面を模した顔、無数の腕、その掌にはぎょろりとした目玉
ハルキ
ハルキ
出た……一級〝妖怪〟
「キミノ腕……ボグニ……チョウダイィィィ!!」

耳障りな声に、フウカはひょいと首をかしげた
フウカ
フウカ
そんなにあるのに、まだ欲しいんですか?
フウカ
フウカ
欲張りさんですねぇ
ハルキ
ハルキ
はぁ……
(なまえ)
あなた
よっしゃァ! 頭は俺が落とす!!
正樹
正樹
ふんっ、それは僕の役目だよ
将平
将平
喧嘩すんな、先輩達に迷惑だ!
千早
千早
……


ポチャンッ……


雨粒が地面を打ち跳ねる

今宵も──〝呪術師〟たちの影の戦いが始まる

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