宗助様...息子さんと龍と例の子を連れてきました...
...入れ
そうして僕はその宗助とか言う奴がいる部屋の中に入った...すると中には楽や龍、そして僕の血を吸ったカオルとか言う吸血鬼よりも段違いな圧倒的な威圧感を放つ男が玉座に座っていた...こいつには敵わない、逆らっても無駄だと思っているのにやはり僕は陸のことが心配で最初は逆らおうとも思った...けれども話してみて、力を僕は使われて...力を見せつけられて、結局僕は陸を危険に合わせない為に変わっていってしまうことになる...。
ほう...カオル、なかなか良さそうな奴を連れてきたじゃないか...褒めてやる...。お前が好きそうな顔の奴をたくさん連れてこさせている...あとで好きにするといい...。
あら、宗助様ありがとうございます!これからもよろしくお願いしますね!
カオルさんは相変わらずだね...はは...。
...おいくそ親父、こいつを一体どうするつもりだ...?天のこと、また龍みたいに吸血鬼にさせるつもりか...?
だから言ってるでしょ、僕は病気の弟の陸のこと1人にさせる訳にはいかないんだ、早く帰して!
ダメだよ天、逆らっちゃ...。それによくそんなに堂々と宗助様の前で強く言えるね...俺なんてびくびくしてることしかできなかったのに...
天...抑えろ...
無理だよ...だって陸が!
ほう...お前は本当に弟のことが大事なようだな...それならこの俺が弟の病気を治してやろうか?それとも...もし逆らうようであれば弟を吸い殺してやってもいいんだぞ...?お前の大事な弟も吸血鬼にしてやれば病気も治るし、お前と弟は共に永遠の時を過ごせるようになるんだぞ?しかしどちらにせよ...その弟、陸のことはこちらで預からせてもらうぞ...お前がその気になったら吸血鬼にしてやってもいい...。ところでお前、歌は好きか?
はぁっ!?どうしてそんなこと聞かれなきゃならないのさ!?
宗助様もしかして...何かお考えですか...?俺にも歌は好きかって聞いてきて...歌わされましたし...
おい、龍、それは初耳だぞ...何でそんなこと俺に言わなかったんだ!?
ごめんごめん、そんな大したことじゃないと思ってさ...俺歌は好きだし...あまり上手じゃないけど...
そういえば、俺もそこのくそ親父に歌とダンスのレッスン入れられまくって教育係の奴に教えられてたな...龍が来る前にそれは一段落したけどよ...あんた、一体何考えてんだ!?それにしてもまた人質とろうとするなんて相変わらず最低な奴だよな...!
どうとでも言え...カオル、お前にも言ってなかったがこいつの血は特別だったのだろう?もしかすると伝説となっている、100年に1度に数人現れるという特別な血を持つ人間なのかもしれん...その者を吸血鬼にすると...その強大な力で何でも意のままに操れ、そして何でも思い通りになるらしい...まあそれはたまたまだったとして...。本題だ...最近他の2大大陸ではアイドルというやつが流行っているらしい...そしてそのお陰で人間達、そして吸血鬼の間でも娯楽が増え、そのせいで我が大陸からその大陸へ移り住んで行く奴らが出てきた...あろうことか志願した人間を連れ去ってな...だから我が大陸でもアイドルというやつを作ろうと思っている...その歌を聴いた者はここから逃げる気がなくなるように魔力で操作してな...勿論その歌自体を好きになる奴もいるだろう...だがその歌を聴いた奴らは皆アイドル...お前達の歌、そしてお前達自体に酔いしれることになる...魔力でな...まあそれはそうと...天、と言ったか...お前の血を飲ませろ...。
はっ...本当さっきから意味分かんないんだけど...僕は陸のところに帰るって言ってるだろ!
無駄だ...さあ来い...。
...っ!?何これ、嘘...体が動かない...!
宗助とか言う奴が指を鳴らすと僕の体は動かなくなり...。
そして宗助がまた指を鳴らすと...
...!今度は体が勝手に動いて!くそ、逆らえない...
今度は体が勝手に動いて宗助のところにどんどん引き寄せられていって...
くっ...ごめん、陸...兄ちゃん陸のところに帰れそうもない...それに陸を危険な目に合わせることになりそうだ...ごめん、陸...僕死にたくないよ...
...ふっ、先程とは態度が違うな...俺に逆らおうと思うな...逆らわなければカオルに任せて監視をするだけにする...吸血はしないし、お前が逆らわなければ弟のことは丁重に扱おう...ここは冷酷大陸という名前ではあるが医療技術は進歩している...人間達でテストもしている...どうやらお前の弟は喘息のようだな...我が大陸の薬で喘息が改善しほとんど起きなくなった人間もいるぞ...お前、歌が好きで弟に歌ってやっていたようだな...今の弟の姿はこれか...
宗助がそう言うと突如として目の前に陸の姿が写し出され...
カオル分かったな...これがこいつの弟だ、こいつを連れてこい...
何で...陸...ごめんなさい...何でも言うことを聞きます...だから陸には何も手を出さないで!
ふっ、いいだろう...今からこいつの血を吸う...カオル、俺が吸い終わったら楽と龍と共に部屋へ運べ...そして前に言った通りに選ばせろ...それから弟を連れてこい!
分かりました...宗助様...
それでは吸うぞ...んっ...んっ...。...っ!これは...やはり...思ったとおりだな...これでもう...他の大陸の好きなようにはさせない!ははははは!...んっ...んっ...本当に力が湧いてくるようだな...んっ...んっ...。
...っ、痛い...。(さっき僕のことを吸ったカオルって奴とは全然吸う量が違う...目眩が...。)陸、陸...(強がっていたけど、やっぱりこいつの力は強すぎる...威圧感に何度も折れそうになって...それでもなんとか耐えて強がっていたけど...今更震えてきて怖い...だけど陸を守らなきゃ...自分を殺してこいつの言うことを聞いて...そのうちに楽と龍と共にこいつを倒すしかない...)ごめん...陸...
そこで僕の意識は途絶えた...そして目が覚めると、目の前に楽と龍がいて、僕を申し訳なさそうな、心配そうな顔で見つめていた...。
一方その頃...陰で冷酷大陸の王、宗助と楽、龍、そして天と弟の陸のことを密かに聞き、動こうとしていた者達がいた...。
そしてその頃、陸はいつまでたっても戻ってこない兄の天に...。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。