あなたの下の名前side_
朝。
教室の真ん中の列の一番後ろ、という
なんとも言えない席に座っている私。
周りに人もまばらにいる状態だが、
思いっきり台パンをする。
目の前の誰かの席の椅子を後ろ向きにして
座っている私の親友、星川サラ。
1年の頃に出会い、そこから仲良くなった子だ。
(現在高2)
どうしてこんなにイライラしているのかというと。
失恋しました。
去年の冬辺りから好きだった、アイツ。
最初は向こうからグイグイ来ていて、
誰がどう見ても脈アリだろ、という感じだった。
アタックされまくったらどうやっても
気になり始めてしまうわけで。
高校に入ってから初めてできた好きな人だった。
今は5月で、半年近く「付き合う直前」のような関係が
続いていて、
「そろそろ告白しようかな」、
「向こうから告ってくれるかな」、
なんて考えていた時期だった。
なのに。
昨日の昼休みに
たまたま人通りの少ない階段を通ったら、
そこには見たことのない女子とイチャイチャしている
アイツがいて。
すぐには状況が理解できず、
一瞬でぐちゃぐちゃになった頭を冷やす為に
その場から逃げ出した。
そして、放課後に人気のない所に呼び出して
話を聞いた所、私は最初からただの遊びで、
本命の彼女は昼に一緒にいた女、しかも3年の先輩
だったということが判明したのだった。
遊びというか、ただキープされていただけというか。
とにかく思わせぶりされていただけだったのだ。
「あなたの下の名前は可愛いけど冷たいからなぁ」
なんて言い出すサラ。
「あなたの下の名前は第一印象怖いから」、
なんて言い出すサラ。
だいぶ失礼じゃない?
…けれど、それは実際今までに何度も言われてきた。
自分ではにこにこしてるつもりなんだけどな。
そんなことを言いながら椅子から立ち上がり
抱きついてくる星川。
私のモテ期はいつ来るんだよ、
もうSJKなっちゃったよ。
…でもまぁ、
可愛い友達がいるからモテ期来なくてもいいか。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。