静かな部屋に、自分の呼吸音だけが響く。
あれ、私……?
え、ここって…病院!?
なんか私ベットで寝てるし…え、なんで…?
なんで、私が…!?
そんな…まさか、私が刺されるなんて…
他人事だと思ってた。まさか私が刺される訳が無いと。
それにしても…犯人の顔、何も覚えていない。
声や背の高ささえも分からない。
後ろから…何かを当てられたんだっけ。
それで私は意識を失って…
絵名が目覚めたらしい。
暁山からのLINEでそれを知ったオレは、すぐさま母親にその事を報告した。
オレの報告に喜んでいる母を見てから、オレは暁山から来たLINEを見返した。
やっぱり…犯人は同じ奴なのか……?
涙ぐんで喜んでいた母親は、ふと思い出したようにオレのほうを見て静かに言った。
オレの台詞に「やっぱり…」と言いたげな様子で母は目を伏せながら言った。
母さんが言う事はきっと正しい。復讐なんて馬鹿な真似、しない方がいいに決まってる。
……でも、オレは…
嘘ついてごめん。母さん
このままじゃ絵名だけで無く冬弥や杏達にもきっと危険が及ぶ。
絵名を襲ったのも許せないし、許すつもりは一欠片も無い。
オレは何があっても…絶対に犯人に復讐をする。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。