想像以上の寒さに思わず
無陀野先輩から借りた上着をぎゅっと握る .
彼から借りた上着は私からすれば
ぶかぶかで , 隙間から冷んやりとした風が通る程 .
かといって上着を脱ぐのも先輩に申し訳ないし
何よりある方が充分良い .
無い方が私はこの極寒に耐えられかねない .
私のすぐ前を歩いている2人の先輩 .
彼らは雪山に入ってから1度も寒そうな
素振りを見せていない .
猫被り先輩に関しては猫みたいな人だから
勝手に寒い場所は苦手だと思っていたが
元気そうである .
それは唯 強がっているだけなのか ,
普通に寒くないのかは分からないが前を歩く
その真っ直ぐな背中は不覚にも頼もしいと感じた .
会話はそれ切りで終わった .
続く話題が思い浮かばなかったのか ,
生徒が近くにいるからかは私も先輩も分からないが
別にこのたった二言だけで会話が終わっても
特に何も不快に思わなかった .
否 , むしろそれくらいの距離が
お互いに一番居心地がいいのかもしれない
…… とか考えていたが急に先輩が私の方を向いた .
彼 は 何 を 言 っ て い る の だ ろ う
生徒と本人である無陀野先輩が近くに居るのに
何故急にそんなことを聞いてくるのか
私がそう平然と言うと彼は
プツンと糸が切れたかの様に盛大な溜息を着いた .
何をそんなに緊張していたのか理由を聞くか
迷ったが , とうとう生徒達の付近に来た為やめた .
黒マスクの金髪男子と眉ピ男子が何やら
口喧嘩をしているようだった .
事前に生徒達のことを聞いていたから
誰が誰かは何となく判断が着く .
まだ話してすらないが2人とも物騒だなと思った .
無陀野先輩は普段どのように授業をしているのか
少し気にもなった .
「 来い 」
無陀野先輩の呼びかけと共に
猫被り先輩 , 印南先輩 , そして私の順に横に並ぶ .
そして軽く自己紹介を済ませた .
無陀野先輩が一通り説明し終わった後 ,
先輩は青髪の男子の方を向いてこう言った .
なるほど … 彼が噂でよく聞く鬼神の子 ,
一ノ瀬 四季くんかな
彼がどれ程鬼神の力を使えるかはまだ
よく知らない . だけど , 私は彼には興味を持った .













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。