玄関ホールの階段の踊り場で ,ニナは先程から何度目か分からない程の溜息と ,台詞を吐いた 。
ニナの視線の先に居るネビル・ロングボトムは ,相変わらず踊り場の隅の壁に蹲り ,ブルブルと体を震わせていた 。
結局先程の吠えメールは ,ニナ達が大広間を出る前に開封されて ,ネビルの祖母の声が100倍となって ,襲い掛かって来た 。
ネビルはすっかり萎縮してしまい ,今に至る 。
やっと顔を上げた矢先 ,ネビルは絞り出した様な声を挙げて呟いた 。
「 そんな事ない 」とは言えず ,かと言ってこれ以上ネビルを責めるつもりは無く ,慌てて訂正するも結局振り出しに戻った 。
ニナの言葉に ,ネビルは再び彼女を見た 。
ニナは居心地悪そうにしたが ,ネビルは彼女の言葉を1つ1つ噛み締めた後 ,ありがとうと笑顔を浮かべた 。
スタスタと歩くニナを ,ネビルは必死に追い掛けた 。
・・・
少し元気を取り戻したネビルに ,苦手な魔法薬学の課題を教えて欲しいと言われ ,ニナとネビルは一度寮に戻り ,必要な荷物を持った後 ,図書室へと向かった 。
1,2時間で終わると予想した課題は ,ネビルに教えながら取り組んだ事により ,いつの間にか図書室の窓から覗く景色は ,日が沈んでいた 。
再びネビルと寮に戻ろうとした時 ,掲示板に人集りが出来ていた 。
気になって掲示板の張り紙を見ると ,次のホグズミード村の日程が書かれていた 。
ネビルは寮監のマクゴナカマル先生から「 ホグズミード村への外出禁止令 」を出されている為 ,休日に村に遊びに行く事は叶わなかった 。
ネビルが張り付く様に半用紙を見ていると ,背後から陽気な声が聞こえて来た 。
リーはニナ達に挨拶をした後 ,声を弾ませながら掲示板の張り紙を見た 。
リーとネビルの2人で会話をしている中 ,急にリーがニナの肩に手を置いた 。
急にグッと距離が近くなり ,ニナは息を詰まらせた 。
しかしその次には ,リーの会話を思い出して声を挙げる 。
ニナが何かを言う前に ,淡々と話が進み ,結局ニナは何も抗議する事が出来なかった 。
それに ,ニナは少し心が落ち着かなかった 。
それは肩に置かれたあいつの手の感触と温かさが ,いつまでも消えなかったからかもしれない 。
next .
リーと一緒にホグズミード村に行く事になりました 🐈ʾʾʾʾ
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!