ふわふわと身体が浮くような感覚の中で、私の名を呼ぶ声が聞こえる。
それと同時に呼び起こされる記憶は荒くて苦しくて切なげな、ジミンの表情。
夢なのか現実なのか…まるであの時みたいに。
ジミンが主人で私がペットで、ただそれだけで満たされていたあの時みたいに。
手を伸ばせば私を捕らえる彼を腕の中に収められる気がして必死に掴もうとするのに、力が入らなくてもどかしい。
ジミン、
ジミン、
ジミン、、、
私は愛する者。
でも、貴方に愛されたいなんて願ってしまった。
こんな私を許してくれますか?
それを知っても尚、"Let me love" と言ってくれますか?
夢の中で、やっと帰ってきてくれたジミンが私を優しく抱いてくれた。
『ただいま』と言って微笑んでくれた。
やっと会えたと思ったのに、私はいつこの目にちゃんと貴方を映して、この手で貴方を抱き締められるんだろう。
耳元がくすぐったい。
本当に帰ってきてくれたんだろうか。
私はいつベッドに移動したんだっけ。
ううん、それよりちゃんと主人を玄関で迎えられたっけ……
重い瞼をゆっくりと開けると、ほんのりと薄暗い部屋の中に人の気配を感じた。
身体も重くて仕方なしに手を動かそうとすると、何かに触れてる感触がする。
どうやら寝ている私の手を待ち侘びた人が握ってくれていた。ゆっくりと重い頭を動かして首を曲げてみる。
カサカサの唇を震わせて彼の名前を呼ぶと真っ赤な目をした彼が私を見つめていた。
何が起こったか瞬時には理解できないけど、どうやら目覚めるのを待っていてくれたみたい。
あぁもしかして、私クローゼットで倒れたのかな。道理で具合が悪かったと思った…
住み慣れた場所ではないことはすぐに理解した。
知らないにおいと人の気配に後から震えがくる。
ここはどこなんだろう。誰がいるの?
ジミンの家じゃない……
せめて彼とは離れたくないと一生懸命手に力を入れてみると、ジミンもそれに応えてくれた。
ジミンの声すら懐かしく思える。
やっと、やっと会えた。
私待ってたんだよ?
いい子でずっと。
目を見開いたジミンの顔を見てすぐ、視界いっぱいに彼の身体が広がった。
確かな温もりと心地良い声に、
耳元に触れる柔らかい髪。
そして、私と同じ家の香り。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!