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20xx年
ただよく晴れていた日の空
いつも通りに箒に跨り魔理沙自慢のミニ八卦炉を付け改良したての火力魔法を使う
が、スピードが増してしまい、制御不能となってしまった
こうなると大体の行き先は博麗神社になるのだが…
博麗神社の手前まで来ると90°に箒を傾け急降下させた。火力魔法と重力のせいで一段と速くなっているが…
今日は参道にぽっかりとクレーターの様に幅広い穴ができた
霊夢が居なかったからいいが…いたらまず夢想封印でピチュるだろう
瓦礫の下から出てきた魔理沙は灰だらけであった
まあ図星と言えば図星だが
にしても何か違和感を感じていた
いつもの霊夢ではない
なんだろうと考えていた時、次の霊夢の一言でわかった
いつもよりひときわ大きなため息である
霊夢がため息をすることはあるがいつも楽しそうな顔だ
なのに今日は違う、浮かない顔をしている
自分は少し不機嫌になって帰っていったが、これがのちに大惨事、いや幻想郷が驚く事になろうとは…誰が思うだろうか
部屋に戻って霊夢の今日のことを考えて少し心配になりやはり戻った方がいいかと思ったが、明日謝って深掘りしておこうと思った
ーーーーーーーーーーーーーーーー翌朝
小鳥の囀りが朝早くから鳴る
朝5時だろうか、目覚ましが鳴る前に起きるとは思わず、まあ、霊夢のとこに行って起こすか…と思った
するとドタドタと家の前で音がした
今日のアリスは急いできては急に口をモゴモゴさせて様子が変だ
でもどうしてこんなにも胸騒ぎがするのだろう
小鳥の囀りがさらにそれを刺激させていた
しかし真顔で見つめてくるもんだから
気分も何も乗らない中、魔理沙とアリスは箒に乗り、いつもならスピードをつけるはずの魔理沙はミニ八卦炉を部屋に置いたままにした
いつもの倍以上かかった
博麗神社はしんと暗くどんよりとした空気で張り詰められていた
妖怪や冥界の奴らは居らず、ただアリスと魔理沙だけが参道に降りた
昨日の傷もまだ少しだけ残っていた
足が鉛の様に重く、歩いても歩いても鉛が足に鎖で繋がれて引きずってる、そんな感覚だった
靴を脱いで部屋を入った先は紫が正座して、今は亡き巫女をずぅっと見つめていた
ただ冷たく雪の様な体になった腐れ縁を見て、みるみるうちに青ざめていくのが自分自身一番分かっていた
震えて掠れていく声をなんとか出して尋ねた
彼女は不眠に悩まされていた…って事は…!
それから紫は涙をハラハラと流しながら白い布を被せた
これから火葬となるとこの姿が跡形も残らず骨と化す
妖怪たちは取り敢えずみんな来たんだとか
それから、友に対する昨日のことを謝れなかったこと、それからずっと持っていた“好意”を最期に伝えた
火葬する時皆は見ないと言ったが私は友の骨を見届けようと思う
今から起きてこないかとも思ったが現実は現実だ…
それからショックでもう何も感じられなく、ぼやけた世界へと化していってしまったのだった
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。