第148話

俺だから
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2021/07/03 12:13
夕
……?オレ影山より上手くセットするから!なっ!
喋らない私を不思議に思ったのか、どんどん私に言葉を投げかけてくる。


あなた
たっ……楽しみに、してますねっっ!
精一杯の笑顔を貼り付け、心臓の音よ伝わるなと願う。


…そんな願いは届くはずもなく、「なんか顔赤くねぇ…?熱中症だったりするのか?」と顔を覗き込まれてしまうとさらに顔が熱くなる。


すると西谷さんは慌てたようにちょっと待ってろ!とどこかへ走っていってしまった。



あなた
熱中症って……
そんなに体悪くないですよーー…
なんて1人で呟きながら、遠征中に熱中症で倒れたのを思い出す。   


大事な時期に迷惑かけてばっかり、だな。



近くにあったベンチにすとん、と腰を下ろす。






ふぅ、と一息ついたとき、頬に冷たい感覚。
あなた
わっっ?!冷た…っ
へへっ、と笑う声の主の方向をむくと、冷たいペットボトルを差し出された。


走って自販機まで買いに行ってくれたのか、少し息が荒い。
夕
これでいいかわかんねぇけど、
取り敢えず水分補給、な!と言われペットボトルを受け取る。


あなた
…『天然水×ガリガリ君 シャッキリ!爽快! ソーダ味!(当たり付き!!)』……
夕
いや、その…、俺ガリガリ君好きだから!美味いよな!、あなたも好きだよな?
急に何故か焦り始めたのか早口になり始めた西谷さん。


これ欲しいのかな?



恐る恐る飲んでみると意外と美味しかったので、西谷さんに渡してみる。
あなた
、西谷さんも飲みますか…?
図星だったのか嬉しいと驚きを混ぜたような表情をして顔を赤くする彼に笑いながら、「先輩も関節キスとか気にするんですか?」と言ってみると更に顔の赤みが増した。
笑っているとデコピンが降ってきた。


あなた
なっ…なんですか急に!
夕
あなたはどうなんだよ。関節キス、気にしねぇの?
あなた
え…、
ムスッとした表情で急展開に追いつけない。
夕
だぁから!!
あなたのここ・・が触れた場所に、俺の口が触れたの!気になんねぇのかよ…っ
ここ・・」と言いながら私の唇を指先でちょんと撫でるのだからずるい。












恥ずかしさで俯いて何も言えずにいると、今まで向かい合っていたのに後ろを向かれた。







夕
それとも…それとも、俺だから気になんねえ?




































これだから西谷さんは、










_____ずるい。

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